宵闇蒸気街2~フリルドレス・ダンス

マスター:深夜真世

シナリオ形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
4~7人
サポート
0~0人
マテリアルリンク
報酬
多め
相談期間
5日
締切
2017/01/26 22:00
完成日
2017/02/10 01:32

このシナリオは5日間納期が延長されています。

みんなの思い出

思い出設定されたOMC商品がありません。

オープニング

●前口上
 蒸気工業都市「フマーレ」には夢がある。
 安く大量に運び込まれる資材は製品となり何倍もの価値で取引される。
 もちろん、農業も一つのちっぽけな種から多くの恵みを生み出す。
 ただ、農業は天気や気候に左右される。
 フマーレにそれはない。
 日照りの日も雨続きの日も安定した仕事と生産をもたらした。夜間、害獣に畑を荒らされることもない。
 昼に計画通りに働き、夜にしっかりと睡眠を取る。明日の計画的な仕事に備えて。
 霧の夜に隠れて事件が起こっているとも知らずに――。

●本編
「確かにウチはフリルドレスも使ってるけど、端から疑ってかかってきたんじゃ攻撃的にもなるわ」
 チョコレート専門店「チョコレート・ハウス」の客席で、オーナーのシエラ・エバンスがおかんむりだ。
「くるみ割り人形の次はフリルドレスのお化けが霧の夜に出る、か……」
 同席する隠者のジル・コバルトが紅茶に口を付け応じる。
「そ。今度は首を締められて亡くなった人もいるし行方不明になった人もいるって。霧の中でふわふわ浮いていたって話の他に、輪になってダンスしてたとか頭にカチューシャ付けられたとかスカートの中を覗くと呪われるとか。他にもミートソースまみれの泥酔者やペペロンチーノの匂いをさせて倒れていた重傷者もいたとか」
「なんか情報が錯綜しておるのぅ」
 フリルドレスの制服もあり大量に保持している店が疑われ、ここもその対象になった腹いせもあるようだ。シエラはいたくご立腹。一方のジルは冷静というか、出てくる情報の多さに呆れている。
「仕立てた方は疑われんのか?」
「一応、仕立て屋とか関係するところは全て疑われたらしいけど……」
 ここでシエラ、唇を尖らせた。
「こっちの繁華街じゃなく工場とかアパートメントの集まる方で被害があるからやっかみまじりでこっちの方が激しく疑われてるのよ。……特にほら、ウチなんか人気店じゃない?」
「しれっと言い切るのう」
 ジル、紅茶ずずず。
「とにかく、また自警団から予算を搾り取ったからまたフラちゃんたちに退治してほしいの。……ううん。もう私も怒ったから『チョコレート・ハウスの自警団』として大きくアピールするわ」
 だからウチからも予算を上乗せするからね、と子供っぽく意地になるシエラ。
「なるほど。身の潔白の証明じゃな」
「そういうこと。……退治だけじゃなく、黒幕捕まえて事件解決してくれちゃってもいいんだから!」
「そうそう、それ」
 ジル、紅茶のカップをソーサーに戻した。
「黒幕はルモーレじゃろうが、前のくるみ割り人形の事件より、少し様子が違うのが気に掛かる」
 前回は「R」と鷹の刻印のある大きな釘が人形に刺さっていて、倒されて発見されると消えたという。以前にルモーレに襲われた村で発見されたものと同じだ。
「違うって、どのへんよ」
「噂の内容がもう開き直っていると言うか、えらく思い切ってるな、と」
「くるみ割り人形だけのときとは、確かにひっそり度は落ちてるわね」
 うーん、とシエラ。だが理由まで分かるわけもなし。
「とにかく、フラちゃんたちに期待ね」

 というわけで、フラ・キャンディー(kz0121)と一緒に深い霧の夜に現れるフリルドレスのお化け退治をしてくれるメンバー、求ム。

プレイング

アティ(ka2729
人間(紅)|15才|女性|聖導士
ナタナエル(ka3884
エルフ|20才|男性|疾影士
模倣犯の可能性……かぁ
僕はそんな視点持っていなかったから目から鱗だね
ただ亡くなった人がいる以上、本物も紛れているんだろうね
……僕はそっちを退治したいな、なんとしても、ね

昼に計画通りに働き、夜にしっかりと睡眠を取るような街
そんな街でわざわざ夜に騒ぎを起こす歪虚、ね
夜に出歩く人ばかりを襲うわけだから、彼らは“何のために外に出たのか”を知りたいな
だって歪虚が家に上がるわけじゃないんでしょ?
でもたまたま出歩く人を探して殺すのは骨が折れそうだ
だとすると、その時間に出歩かなきゃいけなかった人、いつも出歩く人を狙ったとみるのがいいかなって

昼は自警団で聞き込みの結果を教えて貰う予定
本当に歪虚の仕業だとすると覚醒者が対処しないと徒に被害を拡大しかねないからね
遭遇した結果、死亡者が出た事件だけ中心に被害者の性別・年齢・職業とあと遭遇した場所は聴きたいかな
生存者がいる場合はその人の話も聞けたらいいけど、誰かが行くなら僕はパス
それから前回は人形に刺さっていたっていう『「R」と鷹の刻印のある大きな釘』が今回もどこかで発見されていないか、とかね

夜は死亡者が多く出ている区域から探索開始
探索方法はメルクーアさんに賛成しつつ
僕自身は誰と同行でも構わないよ
トランシーバーはスイッチ入れっぱなしにしておくね

戦闘は適宜スキル使用
「逃がさない」
首を絞めに来たらドッジダッシュで避けつつ仲間が次に攻撃しやすいような位置へ移動する
メルクーア(ka4005
ドワーフ|10才|女性|機導師
●心情
本当にフマーレの仕業かしらね?

●目的
フリルドレス退治

●全体方針
夜の調査では2班に分け、工場>アパート方面の順で捜索。
南北から捜索を開始し、合流したら移動する。

A班(北から南へ)ナタナエル、キーリ、悠月、うらら
B班(南から北へ)フラ、メルクーア、小太、アティ

各班はさらに2人ずつに分け、2人は先行、2人が少し遅れてついていく。人数が少ない方が狙われやすいことと、先行した2人が後ろから襲われないようにするため。
戦闘が発生したら仲間全員にトランシーバーか伝話で連絡し、敵を誘導しながら合流する。

●行動
あたしは、今回の敵は模倣犯じゃないかと思うのよね。
なので昼間は事件のあった場所を調査に。最新の事件現場から一通り回ってみるつもり。
模倣犯が人間だった場合、どこかにドレスを吊るすためにロープなどを縛り付けた痕があると思うから、建物の上とか調べてみる。
空振りかもしれないけど、可能性は潰しておきたいから。

夜になったらフラさんと一緒に先行しようかしら。
「よろしくね、カリーノ」(笑)
先行中は、トランシーバーと伝話のスイッチを入れっぱなしにして、「あ、大きな犬がいる」「あの家だけ屋根が青い」などと自分の位置を仲間に実況する。
戦闘になれば、仲間との合流を最優先。フリルドレスをフイヤースローワーで焼き払うつもりだけど、犯人が人間と目星がついていれば、背後からの首絞めに注意して、電撃で麻痺させて生け捕る。
霧雨 悠月(ka4130
人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
【行動】
皆と一緒にフリルドレスの幽霊退治。
…確かに前回のくるみ割り人形より、派手になった感じはするね。如何にもな幽霊話じゃない。
もしかしてフリルドレサーは別件で発生して、ルモーレはそれを利用してまた別の何かを準備…?なんて。
遺体が歪虚化することだってあるみたいだし。この幽霊騒ぎの前に、行方不明者は出ていないかな?
夜まではまだ時間もあるし、僕も被害にあった人達へ聞き込みに回ろう。相手の数、それに前回との共通点探し。
袖で首を絞める…って、歪虚化する前に何か元になることがあったのかな。
あと命を奪われた人がいるなら、そちらの家族にもお話を。聴いておくと、刀が冴えるんだ。
たとえ可愛らしい姿をしてても、遠慮はできない相手だって身体が覚えるからね。

夜間に霧が濃くなったら、前回の探索と同じくランタンを灯して捜索を開始しよう。
大きく分けて二手に分かれる…僕はA班としてナタナエルさん、キーリさんらと行動かな。
まずは工場周辺を捜索。うーん、なんか雰囲気が良いよね。霧に沈んだ風景がさ。
それで…二人が先行して、残りの二人が遅れて捜索、だね。不審な影がないかを探ってみる。
何かあったら、魔導短伝話ですぐに連絡を取ろう。

戦闘は…僕は前衛として行動するつもり。連絡を取る人を守ったり、連絡が終わったら攻勢へ転じるよ。
幽霊って聞くと…刀で斬れるか不安だけど、首を絞めてくるってことは触れられるはずだよね?
キーリ(ka4642
エルフ|13才|女性|魔術師
悔しいわ。フリルドレスでフワフワ踊るなんて優雅で可愛いじゃない。
…犠牲者が出てるのは許せないけどね。手段が短絡的過ぎるわ。
才能無いのが目立とうとすると犯罪に走りやすいのよね。あとエロ系。

【昼】
お昼は工場周辺で聞き込み。玩具工場なんてあるのかしら。
人形にせよドレスにせよ何処かから歪虚の原材料くすねてる訳よねー。

んー、何なのかしらね。くるみ割り人形の次はフリルドレスなんて。
やだ、ルモーレがバレエやってるの想像しちゃったわ。

【夜】
A班:北から南へ探索
工場から探索ね。
ところで、工場の夜景フェチって一定数居るらしいわね?

何で袖で首絞めようとするのかしら。
有効な武器が無いようだけど、それで殺意があるってのが不思議よね。

私のマフラーだけは引っ張らないで欲しいわ。ナチュラルに絞まるわよ。
でも外さない私のアイデンティティ。

【戦闘】
【ブリザード】持って来たけど、ここは新調したスキルの見せ場ね。
とりあえず出会い頭に【グラビティフォール】で行動阻害。観察させて貰うわ。
幽霊に重力魔法が効かなかったら知らない。

私にひれ伏しなさい。地を這う姿がお似合いだわ。
ふふん。ドレスを汚して無様ね。さぁ、私の爪先にキスしなさい(ドヤァ

フリルドレサー退治後は連中が踊ってた現場調べてみるわ。
何も無いかしら?何も無いのを確認したらとりあえずその場でクルクル踊ろうかしら。
張り合う訳じゃないけど。本当よ?


・絡み、アドリブ歓迎します。
弓月・小太(ka4679
人間(紅)|10才|男性|猟撃士
・2班に分かれ行動。
B班にて後方について移動をする。
先行するフラの事を気にしつつも、怪しい事がないか周囲を確認。
怪しい影を見つけたら直ぐに気がつけるように。
戦闘が始まったら直ぐに駆けつける。
「ふ、フラさん気をつけてくださいねぇ?後方でちゃんと見守ってますからぁっ」

・昼間は微妙にフリルドレスと関係なさそうなパスタを被ってた人に話を聞きに。
もしかしたら今回の目標以外にも何かいるかもしれない為と不必要な情報なら今回は忘れれるようにする為。
余裕があるならフラと一緒に話を聞きに行く。
「今回出てこなかったとしても、そのうち対応することになるかもですしぃ」
「パスタは何か別物な気がしないでもないですねぇ。そもドレスがルモーレと関わりあるかもわからないですけどぉ」

・戦闘:後方からの援護射撃メイン。銃の射程を考えつつ距離をとって戦っていく。
近づかれたら転がって距離を取り、出来る限り近接戦闘にならないように。
逃げそうであれば【威嚇射撃】で足止め。
【レイターコールドショット】で回避を下げ逃げづらくする。
フラが危険な場合は近くに行き援護。
「ふわふわとしてるなら…凍らせてしまうのですよぉっ」
「パスタは浮いてなさそうですしやっぱり別件なのでしょうかぁ?」
百々尻 うらら(ka6537
人間(蒼)|17才|女性|闘狩人
クルミ割り人形。フリルドレス。
同系統の事件なのだとしたら
絶対に何か共通点が有るはずですよー。
(長考)
……………………。
……………………。
……………………あー!! のぱぱぁー!!!

「分かったかもですよーぅ!」
だばだばっと日中の調査に出撃。

■日中調査
フリルドレスはなにも人間が着るだけじゃありません。
人形だって着けるじゃないですかっ。
そしてクルミ割り人形です。
自警団も巻き込んで人形を扱うアンティークショップとか
クルミ割り人形やフリルドレスの人形を飾ってるお店屋とか
情報収集するです!!
そこにルモーレってヤツが居るに違い無いですよー。

■提案
「あの皆さん。2手に別れて捜索する前に一ヶ所だけ全員で向かいたい所が有るんですが…………」
昼間調べた内容を説明して全員で
浮かび上がった怪しい店舗(?)へ行ってみたいです。
(スカだったら大人しく別れて捜索に協力って方向で)

リプレイ本文


「はい、小太さん♪」
「あ、ありがとですよぅ」
 フマーレの一角にあるチョコレート専門店「チョコレート・ハウス」のテラス席で、フリルドレスを着たフラ・キャンディー(kz0121)が弓月・小太(ka4679)にホットココアを給仕していた。
 見つめ合い、にこっと微笑する二人。平和な平和な昼下がり。
「ちょっと、なに二人してのんびりしてるのよ」
 そこにキーリ(ka4642)がけだるそうな表情のままアップで詰め寄った。
 慌てる二人。
 無理もない。
 いまは全員で事件の真相について話し合っている最中だ。
 が、しかし。
「あ、話し合いでしたねぇ。これ、キーリさんお先にどうぞですよぅ」
 小太、目の前のカップをキーリに譲った。
「ん……まあ、状況が分かればいいのよ」
 ごく自然にカップを受け取り口を付けると満足したように言うキーリ。
「あっ、そうだね。ほかの人にも早く……」
 フラ、頑張ってみんなにカップを配る。

「……確かに前回のくるみ割り人形より、派手になった感じはするね。如何にもな幽霊話じゃない」
 霧雨 悠月(ka4130)が思案げに肘をついている。
 すっとフラがカップを差し出すとうわの空のままスプーンを入れてぐるぐるかき混ぜたり。
「そうねぇ」
 向かいのメルクーア(ka4005)の前にもフラがカップを置く。
「あたしは、今回の敵は模倣犯じゃないかと思うのよね」
 両手でカップを包むように持つと、まずはココアの香りと温もりを満喫する。
「なるほど。模倣犯の可能性……かぁ」
 ナタナエル(ka3884)の前にもカップが置かれた。
 白い手袋のつま先でつんつん、と磁器のカップを弾く。ココアの波紋を見詰めて微笑したあと顔を上げた。
「僕はそんな視点持っていなかったから目から鱗だね」
 そして表情をほんの少しだけ、誰にも気付かれない程度に陰らせた。
「……ただ、亡くなった人がいる以上、本物も紛れているんだろうね」
「それは間違いないね」
 悠月、ココアを少し口に含んだ後うなずく。
「フリルドレサーは別件で発生して、ルモーレはそれを利用してまた別の何かを準備……なんて事もありそう」
「まあ、事件が起きたって事は何らかの痕跡があるってことね-」
 赤い瞳を上げた悠月。メルクーアも両手で包んでいたカップに口を付け傾ける。

 一方、百々尻 うらら(ka6537)
「うららさん、どうぞ」
「……」
 フラがカップを置いても、無言。
「クルミ割り人形。フリルドレス……」
「えっ?」
 突然呟くうららにびくっとするフラ。
(同系統の事件なのだとしたら、絶対に何か共通点が有るはずですよー)
 うらら、心ではそんな事を考えているようだ。
 こちら、小太。
「そ、それでぇ、キーリさんはどう考えているんです?」
 フラから再びカップをもらって口を付けた後に聞く。
 ところが。
「私のこと、先にココアが欲しかっただけとか思ってるんじゃないでしょうね?」
「ふ、ふぇっ?」
 アップで迫られ、小太がびくり。
「何か考えてるような感じだよぅ」
「そう? んー、何なのかしらね。くるみ割り人形の次はフリルドレスなんて」
 フラの助け船で話が本筋にようやく戻る。
 が、今度はキーリがびくり。
「やだ、ルモーレがバレエやってるの想像しちゃったわ」
 キーリ、苦い顔。つられて想像したフラと小太も苦い顔。
「あー!! のぱぱぁー!!」
 ここでうららが可愛らしい奇声を上げて立ち上がった。今度は三人仲良く、びくっ。
「分かったかもですよーぅ!」
 そう言って駆け出すうらら。
「それじゃ、最新の事件現場から一通り回ってみましょうかねぇ」
 メルクーアも立ち上がる。
「僕は自警団を再確認してこようかな」
 ナタナエルは丸めていた猫背を……あ、猫背のまま立ち上がって店を出る。
 次に悠月もカップを置いて立ち上がった。
「僕は被害者を当たろうと思うけど、キーリさんはどうする?」
「私は工場周辺で聞き込み。人形にせよドレスにせよ何処かから歪虚の原材料くすねてる訳よねー」
「やっぱりちゃんと考えていたね」
 悠月、くすり。
 一緒に出て行く。

「小太さんはどうするの?」
 残されたフラだが、小太はまだ彼女がココアを飲んでないことに気付く。
「ドレスに関係ないパスタに襲われた人を当たろうと思います……その、フラさんがゆっくり飲んだ後に」
 しばらくまったりする二人である。



 さて、メルクーア。
「輪になってダンスしてた、とかだから数が必要なのよねぇ」
 そんなことをつぶやきながら、最新の目撃現場へ。
 が、荒れた様子はない。ごく日常的な石畳の街並みが広がっている。
「ドレスは浮かんでいるだけに足も着かない、ってね」
 ここに手掛かりがないなんて重々承知。
「模倣犯が人間だった場合、どこかにドレスを吊るすためにロープなどを縛り付けた痕があると思うのよ」
 つまり、ドレスはごく普通のドレスで通りに渡したロープで驚かせている、と。霧の夜ならではの手品トリックではないか、ということだ。
 だとしたら、どんなメリットがあるのだろう?
「その先に行かせない、とかね。パスタの被害とかもあるんでしょう?」
 確認して自分に言い聞かせるように呟く。結構、幅広く事件を勘案しているようだ。
 が、洗濯物のように水平に渡した痕跡はない。
「建物の上は……」
 周りの住民の許可を得て屋根裏部屋の窓から覗いてみたりもするが、特に何かを吊していた痕跡は見当たらない。
「ま、可能性が潰せたわね」
 屋根の上にしゃがむメルクーア、自分の仕事は全うしたという充実感が漂う。何より、建物の上からの風景が心地良い。

 こちら、ナタナエル。
「昼に計画通りに働き、夜にしっかりと睡眠を取るような街……」
 石畳を歩いているが、黒い足袋で足音もしない。自問する呟きもほぼ口の中で消えている。
「そんな街でわざわざ夜に騒ぎを起こす歪虚、ね」
 おっと。今度は背筋を伸ばしてはっきりと口にした。
(夜に出歩く人ばかりを襲うわけだから、彼らは『何のために外に出たのか』を知りたいな)
 すぐに背を丸めてそんなことを思う。
 で、立ち止まる。
 教えられた自警団幹部の自宅だ。
「ここは出稼ぎのよそ者も多い。行方不明というか、夜逃げのように田舎に帰るとかはよくあるんだ」
 幹部は苦み走った表情で説明した。
「痕跡が残らないから調べようがない。ドレスを大量に持っているところは調べたが、逆にそんな疑われるようなことするはずないしな」
「ごもっとも」
 ナタナエル、微笑して聞く。
「被害者は夜に出歩くことになる夜の店の店員や酔客だな。だから聞き込みしても信憑性がねぇ。犯人は歪虚だとは思うんだが、そうなるともうちょっと派手に暴れてくれないとこちらとしても身動きが取れない」
「よく分かりました」
 聞き上手で結構しゃべってもらった。手詰まりなのがよく分かった。

 工場街ではキーリが聞き込み中。
「人形に着せる衣装? 衣類工場はもうちょっと東だ」
 そう言われ人形工場から東に歩く。
「ああ、ウチも自警団がやって来たねぇ」
「最近盗まれたとかないの?」
 対応した女性作業員に畳み掛けるキーリ。
「ドレス泥棒? あったら決定じゃない」
「そうじゃないわよ。原材料よ」
「そりゃ、自分で裁縫したんなら時間掛かるから当時はバレないけど……あ!」
「何よ?」
「当時といえば、昔ね……」
 どうやら新たな情報をゲットできたようで。

 のぱぱぁー、と出て行ったうららは。
「前はくるみ割り人形ですよね? フリルドレスはなにも人間が着るだけじゃありません。人形だって着けるじゃないですかっ!」
 自警団員を数人引き連れ街をどだだっと走っている。
 きききっ、と止まったのは、人形専門店。
「ここにルモーレって奴はいませんか!」
 ばんっ、と扉を開いてド直球な聞き方で騒ぐ。
「いやちょっと……」
「人形が怪しいんですよ-。ここにいないならほかに人形の館とかないんですかー」
「人形の館?」
 だばだばっ、と騒いでみるものである。店の奥のおじいさんが何かを思い出したようだ。

 そして、小太。
「パスタの臭いを残して倒れていた人に話を聞くの?」
 ついてきたフラが聞いてきた。
「パスタは何か別物な気がしないでもないですねぇ。そもドレスがルモーレと関わりあるかもわからないですけどぉ」
 自警団から聞いて訪れた場所は、開店前の酒場だった。
「まったく、バカにしてるわよね」
 カウンターに座っていた、太った女性店員はタバコを吹かしてクジラのように煙をぷはー。
「こっちは命を懸けてるわけ。こんな服着てるでしょ? 身の危険もそりゃあるわよ。それなのにあの浮いたパスタは逃げ遅れて転倒した私を殺そうともせずソース塗れにして逃げただけ。ガーリックの臭いが染みついて看板娘の名に傷が付いたわよ」
 ほら、と胸元さらして白い肌を見せつつ小太に迫る。そのお色気ムンムン具合にたじたじな小太。隣のフラはハラハラ。
「そ、それじゃありがとうございましたぁ」
「あら、飲んで行かないの?」
 そうそうに退散する。
「こっちは人形の時より騒ぎ重視みたいですかぁ?」
 首をひねる小太だった。

 で、開店前の別の酒場で。
「ええ、常連客だったわ」
 やや露出の多い衣装を着た女性店員が、犠牲者について聞いてきた悠月の顎に指先を沿わせて言った。
「ウブで一途な人でね。私の気を引こうと一生懸命だったわ」
「職場で家族の人を聞いたら、出稼ぎだからって……」
「あら、それでここを教えてもらって……まあ。結婚をねだってたけど、一途だったのねぇ。あら?」
 悠月が流されないよう心を狼にして話すと、そんな返事が。
「あなたはただ優しいだけじゃないみたいね。そういう人も好きよ? ……だから教えてあげる。ここは出稼ぎのよそ者が多いの。飲みに来る人は寂しい人。誰かほかの人との繋がりを求めて来るわ。あの人もそういう人だった」
「ありがとう」
 それだけ言って辞した。
「……今晩は刃が冴えそうだよ」
 背中の向こうで呟いた一言は、犠牲者の寂しさを感じたからか。



 そして夜。
「このあたりが一番被害があったって場所だね」
 ナタナエルが着火の指輪をした指先に炎を灯しつつ夜霧の街を見回した。
「うーん、なんか雰囲気が良いよね。霧に沈んだ風景がさ」
 悠月はランタンを巡らせ白い霧と石畳の佇まいに感心する。
「ところで、工場の夜景フェチって一定数居るらしいわね?」
 キーリがぽそり。
「えっ? 僕はそういうわけじゃないけど」
「さっき楽しそうにしてたじゃない、ユッキー」
 慌てる悠月にうりうりとひじでつつくキーリ。
「あの皆さん、もしもフリルドレスが出てきたらデザインが古いかを見ておいてください」
 うららはそんなことを言う。
「どうしてかな?」
 LEDライトで本格的に周りを照らしたナタナエルが確認する。
「あー、私からもお願いするわ。古いデザインだったら解決するかも」
 キーリも心当たりがあるようだ。
「それは凄いね。……胸が高まるよ」
 悠月、日本刀「白狼」を手に先行する。
「確定なら場所も分かりますよー」
 うらら、悠月と並んで探索というか、囮になる。
 ナタナエルとキーリが後ろをついて探索する形だ。

 こちら、メルクーア。
「じゃ行きましょ、カリーノ」
「う、うん……カシス」
 メルクーア、フラを偽名で呼ぶとフラも偽名で返した。
「ん? カリーノ、赤くなってない?」
 もじっ、とフラが恥じらったのは、以前この偽名を使った時二人で密着して恥ずかしい罰ゲームをやらされたから。
「と、とにかくいきすよぉ。北から他の人が探索してきますからねぇ」
 仲睦まじい二人を見てやきもきする小太が急かした。
 こちらはカシスとカリーノが先行して、小太が後ろをついて探索する。

「ん?」
 しらみつぶしに探していると悠月の足が止まった。
「な、何か霧の中でひらひらしてますねー」
 うららが不思議そうに近寄って見ると、すぐに霧の中からもわっと宙に浮かぶフリルドレスの一団が出て来た。
「これは知らなかったらびっくりするね」
 悠月、踏み込んで日本刀「白狼」を一閃。スカートを切るが、切れたまま浮いている。
「あっという間に移動してきますね」
 うららのほうは試作溶断刀「ブレイジングKAGUTUCHI」で払いつつ下がっていた。
 そのスピードよりも包囲行動に入ったドレスの方が早い。
「ユッキー、うらら、横に逃げておいて」
 ここで後方のキーリが魔杖「スキールニル」を手に前に出る。
「さあ、地にひれ伏して私の爪先にキスしなさい……『転落展覧会』、楽しむといいわ」
 ドヤ顔で紫色の光を伴う重力波を生み出した。
 が、ドレスはびくっとうなだれるが地面に叩きつけられることはない。
「ちょ……私の爪先がそんなヤなの?」
 不満を口にするキーリ。
「これだけで十分!」
「あ、後ろに逃げてたのが行きましたよ~」
 ばっさりとドレスを二分し止めを刺した悠月に、斬りつけながら影響を逃れていた一体の突撃を知らせるうらら。
「私のマフラーだけは引っ張らないで欲しいわ。ナチュラルに絞ま……っ!」
 キーリ、突撃をかわすがマフラーに絡まれ……いや、服に着られた。
 そして全身締め付けられる!
「女性の服をどうにかするつもりはないけど」
 トランシーバーで連絡していたナタナエル、ここで参戦。ドッジダッシュとともにワイヤーウィップを振るいドレスのスカートをたくし上げると、ナイフでドレスだけを切り上げた。
 キーリ、脱出。
「大丈夫?」
 ここでフラ、到着。
「派手に行くわよ、回避してね!」
 同時に来たメルクーア、タクトを振るって炎を扇状にぶっ放す!
「孤独な人の無念を!」
「はわわっ!」
 悠月は月牙のダウンスイングと同時にしゃがみ、うららはこけて回避。ドレスの残り三体に命中した。
「よくもやってくれたじゃない。回避してよ」
「ふわふわとしてるなら…凍らせてしまうのですよぉっ」
 今度は反対からキーリがブリザード。さらに反対から小太がリボルバーでレイターコールドショット。悠月とうらら、そして前線に加わったナタナエルとフラ、回避に忙しい。
 ただ、もう時間の問題だ。
 しかしっ!
「ふえっ?」
 南の最後方、小太が小さく悲鳴を上げた。
 何と、背後から浮遊する巨大パスタが襲ってきていたのだ。巨大スプーンとフォークで叩かれ刺され。最後にはホワイトソースを掛けられた。
 そして逃げる。
「電撃で生け捕りよ!」
「逃がさない」
 メルクーアが雷撃で追撃。ナタナエルも反応しワイヤを絡めドッジダッシュ。ナイフで皿を割ると、「R」の刻印のある釘を残して消えた。
「それ、こっちにはないですー」
 うららは全滅したドレスの方を確認。こちらに「R」のマーク入りの物はない。

 とにかく、ドレスの方は古いデザインと分かった。
 昼間に得た情報の、過去に森の中にあったという屋敷が騒ぎの元である可能性が高まった。

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MVP一覧

  • 何かぱーふぇくつ
    キーリka4642
  • ベストフンドシスト
    弓月・小太ka4679
  • ドジッ子
    百々尻 うららka6537

重体一覧

参加者一覧


  • アティ(ka2729
    人間(紅)|15才|女性|聖導士
  • 《選択》せし英断の眼
    ナタナエル(ka3884
    エルフ|20才|男性|疾影士
  • Pクレープ店員
    メルクーア(ka4005
    ドワーフ|10才|女性|機導師
  • ポップシンガー
    霧雨 悠月(ka4130
    人間(蒼)|15才|男性|霊闘士
  • 何かぱーふぇくつ
    キーリ(ka4642
    エルフ|13才|女性|魔術師
  • ベストフンドシスト
    弓月・小太(ka4679
    人間(紅)|10才|男性|猟撃士
  • ドジッ子
    百々尻 うらら(ka6537
    人間(蒼)|17才|女性|闘狩人

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依頼相談掲示板
アイコン 依頼前の挨拶スレッド
ミリア・クロスフィールド(kz0012
人間(クリムゾンウェスト)|18才|女性|一般人
最終発言
2017/01/24 17:56:55
アイコン 「フリルドレサー」討伐相談所
ナタナエル(ka3884
エルフ|20才|男性|疾影士(ストライダー)
最終発言
2017/01/26 19:14:11