【受験を考える】英語の先生がテストを受けたら中学生並みだった?…TOEIC280点の英語教師がいた
受験についてのご意見をうかがっているこのコラム。
以前、寄せられているご意見として、公立ではなくあえて私立を選ぶ理由として、「公立の教師に対する不信感をあげる人が目立っている」とし、先生たちの教師としてのレベルを保つためにも「先生にもテストを受けさせるべきだ」というご意見を紹介した。実際にテストを受けさせた教育委員会があったが、結果はあぜんとする内容だった。
京都府教委が中学校の英語担当の先生を対象にした平成28年度から始めた英語検定試験「TOEIC」受検事業だ。英語の先生74人が受検したものの目標ラインに達していた先生はわずか16人しかいなかったというのだ。
目標ラインは、英検準1級程度の730点以上。京都府教委の担当者は「厳しい現状と認識している」と話しているという。
文部科学省の次期学習指導要領では、中学校の英語の授業は英語で実施することが基本とされ、現場でも英検準1級以上の英語力が必要なのだという。
そもそも、英語の先生の英語力が水準に達していないのに、生徒たちの英語力を伸ばそうというのは無理な話だろう。
ただ、英検準1級レベルといえば、なかなかの難関。なかには、調子が悪くて合格ラインにすれすれで届かなかった先生もいたのかもしれない。
が、この問題がさらに深刻なのは、受検者のなかには英検2級レベルの実力に達していない500点以下の点数だった教員も14人いたという点だ。しかも、最低点はなんと280点だったという。中学生並みといってもよいかもしれない。
府教委によると、280点をとった先生は、体調が良くなかったということだが、それを差し引いても、500点以下の先生がたくさんいた事実はゆるがない。英語力不足の先生が中学の英語教師をしているということになると、やはり、不信感が広がるのも仕方がないのかと思ってしまう。
寄せられているご意見のなかには、教師たちが学級運営や部活動、保護者や地域住民などへの対応などに忙殺され、日々の授業の準備などにあてられる時間が不足していることを問題視するものもあった。少子化の影響を受け、先生の数も減少するなか、「やらねばならぬ仕事が増えている」と指摘する元教師からのメールもあった。
そうした話を聞くと、「先生も大変なんだな」とは思うが、中学校の先生の英語のレベルが中学生並みというのはやはり、論外だろう。府教委の担当者も「事態を深刻に受け止めている」としたうえで、「やはり英語が自由に使える先生じゃないと、楽しく教えることもできないと思う」と話していた。先生も勉強が必要なのだ。(か)
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