デジタルリスク総研は、デジタルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元することによって、デジタルリスクを低減させることを目的とした研究機関です。MORE

「なぜバイトがないときにかからなかったの?」と
高熱のアルバイトに出勤を強要したコンビニが炎上

2017年02月15日

今月初旬、とあるコンビニエンスストアで、高熱を出したアルバイトが、店側に休みの取得を求めたところ、「なぜバイトが無いときにかからないのか不思議で仕方ありません。ともかくシフトは責任持ってください」などと出勤を強要した店長とのこのアルバイトのメッセージのやりとりの履歴画面と思われるものが、このアルバイトのTwitterアカウントによって公開され、炎上しました。

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このアルバイトは、39.6度という高熱を出し、店長と思われる方に休暇を取りたいとの旨を伝えたところ、「無理です。代わりを探してから休みの報告をしてください。」など店長は、アルバイトの要望を拒否。さらには、「なぜバイトが無いときにかからないのか不思議で仕方ありません。ともかくシフトは責任持ってください。私は代わることが出来ません。」というメッセージを送信し、このアルバイトに出勤を事実上強要しました。このやりとりが、このアルバイトの店員によってソーシャルメディアに公開されると、ネット上ではこの店長に非難が殺到する事態となりました。

アルバイトの方を「ネット告発」に向かわせる要因

なぜ、「ネットに告発」するのだろうか、そうではなく、アルバイト先の本部などに、正式な形で訴えればよいのではないだろうか、と考える方もおられるかもしれません。こうした、「ネット告発」に走る理由は、以下の3つが主な原因として考えられます。

1. 愚痴を言いたい、という欲求が含まれている

こうした訴えには、状況を是正したいという思いと共に、愚痴を吐き出したい、現状はおかしいことである、と他の人から共感されたい、という思いが同時に含まれていることがほとんどです、ソーシャルメディアを使った訴えは、この欲求を満たすことも出来ることが、近年こうした訴えが増加している原因であると考えられるのではないでしょうか。

2.ネット告発は「手頃」な手段

こうした人々にとってまた、ネットに告発するほうが、より手頃な自己主張の手段の場合が多いのです。理不尽な環境に疲弊しているアルバイトの人が、バイト先の店長といった上司や、企業全体という(彼らからすれば)、立場が上で、時に巨大な存在に主張を訴えるのは、非常に労力と精神力を要する行為です。

それよりも、クリックやスマートフォンのタップひとつで、ソーシャルメディアを通じて全世界に是非を問う行為のほうが、より手軽な手段となっているのが実情です。

3. 現状への諦観

こうしたネット告発を行うようなユーザーは、このケースのように、話し相手側とスタンスに大きな乖離が見られる場合など、「実際にそうしたところで、結局のところ状況が解決しない(可能性が高い)」と、そうした行為の無為さを達観している場合が多く見受けられます。

店長の横暴をネットで公開する事例は、炎上の最新トレンドのひとつ

コンビニ店長のアルバイトの店員に対しての横暴な態度や、時には違法と思われる行為がアルバイトによってインターネット上に、「告発」される事態は、炎上の最新トレンドとなっています。こうした現状では、連鎖的に、新たにこうした不満を訴える別のコンビニのアルバイトの方が出てきたり、外食産業など、コンビニ以外の業種でも、アルバイトの方のこうした不満が噴出する可能性が非常に高い状態だと言えます

企業として対応すべきことは

こうした状況に、企業として対応すべきことはなんでしょうか。

真っ先にすべきなのは、ソーシャルメディア上に自社のリスクがあるかどうか現状のチェックです。現状で既にこうしたアルバイトの方の暴露や、それに近しいものがある場合は、緊急の対応が求められます。 次に、現状のソーシャルメディアのガイドライン、および研修体制が実際に機能しているかの確認です。ガイドラインが策定されていても、実際に社員に浸透していなければ意味がありません。研修が実際に効果が見られるものなのかどうか、再検討してはいかがでしょうか。また、正社員にはこうした研修がなされていても、アルバイトの方には十分な研修がなされていない例も多く見受けられます。こうした事象が一度起きてしまえば、企業の評判に直結しますので、ガイドラインや研修が機能していないようであれば、新たに教育の機会を設けたり、マニュアル、ガイドラインををより訴求力のあるものにすることをおすすめいたします。

しかし、事業が大規模な業種であればあるほど、すべての従業員にこうしたリテラシー教育をすることが事実上困難である、という場合も多いでしょう。 そうした場合は、根本的な解決ではありませんが、ソーシャルメディアのモニタリングも有効な手段です。仮にこうしたアルバイトの投稿が行われたとしても、投稿と実際の炎上にはタイムラグがあることが多く、それまでに投稿を発見することが出来れば、被害を最小限に留めることが可能です。

炎上リスクを事前に回避する→
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炎上被害を最小限に食い止める→
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デジタルリスク総研について

日本におけるSNSの利用率はここ数年増加の一途をたどり、2015年3月の調査では実に77%に至りました。企業もこれに比例してSNSをマーケティングに活用しようという動きが高まり、今日では既に一般的なこととなっています。ソーシャルメディアマーケティングは、話題の拡散、属性によるターゲティングや双方向のコミュニケーションといったマーケティングの多様性を生み出し、この成否が顧客エンゲージメントの獲得を左右するようになりました。

しかし、その一方で、ネット炎上件数もまた年々増加し、昨年は遂に1,000件を超え、企業としては、炎上させないSNSコミュニケーション術や、万が一炎上の火種が生じた際にどのように対応するかというリスク管理体制の整備が求められています。これは、ソーシャルメディアの活用を控えるという意味ではなく、ソーシャルメディアを有効に活用するための手段でもあります。

デジタルリスク総研は、2007年からソーシャルリスクマネジメントに着目し事業を行っている株式会社エルテスによって、ソーシャルリスク総研として、2016年2月に設立され、ソーシャルリスクを低減させることを目的とした研究機関として、ネット炎上等のソーシャルリスクに関する研究を行い、その成果を社会に還元してまいりました。そして、2016年11月にデジタルリスク総研と改称し、ソーシャルリスク分野に加えて、企業内部の不正や金融犯罪の検知をはじめとしたリスクインテリジェンス分野における研究を開始しました。このサイト上では、企業に役立つ実践的なデジタルリスクマネジメントについて、定期的に情報発信を行いますので、企業等のデジタルリスクマネジメントに是非ご活用ください。

※ 13歳以上の男女。(出典)総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査研究」(平成27年)

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