シリコンバレーも驚く!リクルートの異端児

現場から生まれる「破壊的イノベーション」

峰岸社長は『週刊東洋経済』(2014年11月1日号)のインタビューで次のように話している。「当社の主役は事業のトップやリーダーだ。経営陣は舞台を提供し、最大のパフォーマンスを出してもらうため、演出することが仕事。成長に向けて新規事業を生み出す、新たなヒーローを作っていく」

石山氏は新たなヒーローになりうるか――。

研究者から飛び込み営業マンへ

石山氏自身、学生時代はいわゆるビジネスや起業には興味がない、超アカデミックなタイプだったという。研究室にこもり、プログラミングや研究に明け暮れ、2年間で論文を18本も書くような学生だった。ところが、リクルート入社後に初めて携わった業務は、なんと「Hotpepper」の飛び込み営業だった。

「修士で論文18本を書いた人は、おそらく日本でもいないのではないか。なのに、4月1日に入社式に出て、4月2日から『Hotpepper』を売ってきてと言われ、3カ月間、飛び込み営業をやった。今、新規事業を立ち上げているが、当時経験した“顧客開発”のプロセスが実はすごく役に立っている」と石山氏は笑う。

石山氏が持つ世界にまたがる人的ネットワークも、リクルート入社後に築き上げたものだ。当時、石山氏のミッションは、リクルートが紙のメディアからネットメディアへとシフトし、各領域でナンバーワンになることをサポートするというもの。5年目になり、石山氏はミッションをほぼ達成してしまい、調査の仕事をしたいと考えていた。そんなとき当時の上司が一言。「サンフランシスコに出張したければ行っていいよ」。

石山氏は、空き時間に情報を収集し、興味が湧いたアメリカ企業に自ら連絡を取り会いに行った。サンフランシスコに飛んだ石山氏は、多くの投資家などを紹介してもらうようになる。そこで得た情報をリクルートに持ち帰り、リクルートも投資をする。そうした流れで、徐々に自身の人的ネットワークも広がっていった。

「リクルートの飛び込み営業と一緒。要は、『まだここにない出会い』みたいに、興味を持った人に会いに行く。そのことを会社が“いいね”と後押ししてくれる。本来の業務ではないにもかかわらず、海外出張も行かせてくれた。まさにこれがリクルートのカルチャー」(石山氏)。

院生時代をひたすら研究室で過ごした石山氏を大きく変えたのは、リクルートのカルチャーだったといえる。

あの『ゼロ・トゥ・ワン』の著者も巻き込む行動力

冒頭でも触れたが、ベストセラー書『ZERO to ONE(ゼロ・トゥ・ワン)』にまつわる驚きのエピソードがある。

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