認知症と聞くと、高齢の方に多い病気だと思われがちですが、若くして認知症になるケースもあります。
64歳以下の人が認知症と診断された場合のことを、「若年性認知症」といいます。
この若年性認知症は、64歳以下と若い年齢のせいもあり、「物忘れが多いだけ」「年のせいか」などと、本人による自覚がなかなかないため、診断までに時間がかかってしまうことが多いんだとか。
また、病院で診断を受けても、うつ病や更年期障害と間違われてしまうこともあり、正確な診断までに時間がかかってしまう病気の一つです。
男性に多いと言われる若年性認知症
厚生労働省の調査によると、若年性認知症患者は調査時点で4万人弱、男性の方が女性よりも多く、発病年齢は平均で51歳ととても若いことがわかっています。(2009年)
主な症状は?
①記憶障害など
物忘れが目立ち、仕事にせよ日常生活にせよ、大切な用事までも忘れてしまうことがあります。
また、予定を組んだことさえも忘れてしまうので、「約束したじゃないか」とこちらが言ったところで、「あ、そうだった」とはならないのです。
②一度に複数の事を考えられなくなる
片づけなどをする場合も、どのように片づけたらいいかがわからなくなってしまったりするため、部屋が散らかっていくのも特徴の一つです。
料理などが出来ていた人でも、作り方さえわからなくなってしまいます。
また、脳血管性やアルツハイマー型、レビー小体型など様々な形の認知症が存在しており、その型によって、出る症状は様々です。
どうして若年性認知症になるの?原因は?
若年性認知症の原因となることであげられるのは、主に血管系の病気です。
「脳梗塞」
脳の血管が詰まってしまう病気。
脳の血のめぐりが通常の5分の1から10分の1にまで低下してしまい、その経過時間によってはその部位の脳組織が壊死(梗塞)してしまいます。
「脳出血」
脳内の血管が何かの原因で破れて、脳の中で出血した状態になってしまうこと。
そうなることで意識障害や運動麻痺、感覚障害などの症状が現れます。
血腫が大きくなってしまと、脳ヘルニアになり、最悪死に至るケースも。
「脳動脈硬化」
動脈とは、酸素や栄養素を運ぶ重要な役割をする部分。
この動脈は年齢とともに老化していき、弾力性がなくなることで硬くなったり、血管が狭くなったりしていき、このことを動脈硬化と呼びます。
血管が狭くなったり硬くなったりすると血管はもろくなり破れやすくなるため、心臓に大きな負担がかかってしまったり、臓器が正しく機能しなくなるなど、死にも直面する恐ろしい病気です。
以上の脳の血管障害が原因で若年性認知症は起こるとされています。
また、生活習慣が原因でも若年性認知症は起こるとされています。
例えば・・・
「糖尿病」
インスリンと呼ばれる血液中のブドウ糖を筋肉や肝臓などへ取り込み、血統を下げる働きを持つ唯一のホルモンが体内には存在しますが、そのインスリンが作られなくなってしまうことにより、糖尿病を発症させます。
日本人はこのインスリンの分泌が遺伝的に弱いとされているので、運動不足や肥満、ストレスには十分に気を付けていきたいところ。
「高血圧症」
血圧が正常の数値よりも高く維持されている状態のこと。
高血圧は脳卒中や腎不全の発症原因にも繋がります。
生活習慣病の一つとされており、減塩療法などの治療も必要不可欠となります。
「脂質異常症」
血中のコレステロールや中性脂肪が増える状態のことをいいます。
高カロリーの食事が多い日常生活を送られている方には注意が必要ですが、遺伝的な脂質異常症もあるそうです。
家族性高コレステロール血症は、日本人では500人に1人という高い頻度で見られる遺伝性の疾患です。
特に気を付けて!
特に気を付けてほしいのが急性による大きな脳出血や脳梗塞。
これらの場合、意識障害や言語障害が現れることが多いのですが、家族や周りの人達はそれらの症状に目を奪われてしまいがちで、症状が落ち着いてからの認知症の症状に気付けない場合が多いのです。
まとめ
以上のように、若年性認知症は様々な病気が引き金となって起こるケースから、日々の生活習慣などが原因で起こるケースもあり、非常に様々ですよね。
しかし一つ言えることは、日々の生活の中でも予防していく策があるということ。
生活習慣病である「高血圧」や「糖尿病」も、食生活を気を付けていくことで予防にもつながりますし、脳梗塞や血管系の病気も、やはり食生活が関係してきます。
また、家の温度調整も各部屋で開きがあると血管によくないので、そこも気をつけたいところ。
加えて、可能な限り適度な運動も心掛けていきたいですね。
食生活や運動習慣、生活環境など、見直せるものは見直していき、若年性認知症に直結する病気を予防していくことが、日々私たちの生活でも出来ることではないでしょうか。