板野はづ紀/金井千夏/祭田俊作/森田良明/横田彩華/鷲尾恵一 『ひきこもり展』 [1-F:3/30-4/1]

多摩美のプロダクトデザイン3人、グラフィックデザイン3人、計6人による展示です。
グラフィックデザイン学科の祭田さんと横田さんが「変な(面白い)人と展示やりたいね」と話していて、プロダクトデザイン専攻の森田さんに声をかけたところから始まったそうです。

「ひきこもり」というテーマを、「それに決まったから合わせてつくりました」という訳ではなく、それぞれが「ひきこもり」に思う所があって、それぞれの観点で作品に落とし込んでいるところが面白かったです。

 祭田俊作さん 『ポンコツ』
額のアクリル板が反射してしまってうまく映っていないのが残念ですが、とても精密に描かれた作品です。ロボットの悲しげな瞳や添えられたコンセプト(ロボットの独白)が切ないです。もしカフカが現代に生まれ『変身』を書くなら、毒虫ではなくこんなロボットの話になっていたのかもしれない、そんな風に感じました。

「周りの変化に追いつけなくて、
自分の姿に耐えられなくて、
部屋の片隅から出られない、僕はポンコツ。

それでも僕を探してくれて、
見つけてくれた。君はトモダチ?」


 鷲尾恵一さん 『Babel』
こちらも反射の関係で横から撮ったため、実物より変に延びてしまいました。うさぎのぬいぐるみを持った少女の背後に、うずたかく積まれたぬいぐるみの山が出来ています。神の領域に近づかんとする現代のバベルと捉えると、二次元的な存在の希薄さを含みながらも、妙にリアルさを帯びて迫ってきます。
https://twitter.com/venevenezuela


 横田彩華さん 『Blurred』
14:45に起きて、(夜にパソコンをいじったり、深夜にゲームをしたりして、)6:50に眠るという或るひきこもりの一日を連作のパネルで表現しています。「(人と会わない為)社会性が欠落し部屋と一体化するような感覚」、「外と紙一重でズレた時間軸で流れていく生活」、「窓の外のせわしない世界に恐怖しつつも憧憬を抱く」といった事柄をうまく作品にしています。「私にとって、進むことをやめたように見える生活の、彼らなりの日常の些細な移り変わりが、とても愛おしく感じられるのです」とステートメントにあります。こうしたひきこもりに寄り添うような横田さんの視点が、この作品を魅力的にしている一番の理由だと感じました。




 森田良明さん 『懐古の繭』
ひきこもりが自分の殻に閉じこもり、楽しかった想い出に浸っている様子を、蚕の繭と重ね合わせた作品です。人がたのスタイロフォームに、想い出が描き込まれた原稿用紙が貼付けられています。プロダクトデザインを学んでいるというのに、作品単体では成立しないほどコンセプチュアルな作品だというところに興味を覚えました。

金井千夏 さん 『Callp』
悲しい時や落ち込んだ時に親しい人に電話するための道具『Callp』(Call+Helpの造語)は、「電話する時に見栄を張っても(張らなくても)いい」、「抱きしめるとちょっとあたたかくて、少し頑張ろうと思える」、「涙がこぼれそうになったら(相手に聞こえないよう)電話機から離れてもいい」という金井さんの発明品。こんな電話、あったらいいですよね。「必要は発明の母」ですから、もしかしたらいつかCallpを使える日が来るのかも。

 板野はづ紀さん 『甘い逃避』
せかせか働いているアリと甘い砂糖の中に閉じこもっている私。ひきこもりにはネガティブなイメージがあるけれど、アリにも一定数怠けアリがいること、ひきこもりではなくても時には休日に自室で過ごすことがあることを挙げ、誰にでも内在する本能なのかもしれないと結論づけています。


祭田さん、鷲田さん、横田さん
「展示の邪魔になるから」という理由でぎゅっと固まって座っていた(仲の良さそうな)姿が印象的でした。

DF STAFF KOZUE