アイヌ民族の遺骨 ドイツの学術団体が日本に返還の意向

アイヌ民族の遺骨 ドイツの学術団体が日本に返還の意向
ドイツの学術団体が、かつて研究目的で収集されたアイヌ民族の遺骨6体を保管し、このうち1体は明治時代に札幌の近くの墓から掘り出されたものだと確認されたということで、団体では日本に返還したいとしています。
アイヌ民族の遺骨をめぐっては、明治時代から戦後にかけて北海道の大学などによって研究目的で墓から掘り出されるなどして保管されてきましたが、一部は海外にも持ち出されていたことがわかっています。

ドイツの首都ベルリンにある人類学や民俗学の研究者で作る学術団体によりますと、この団体もアイヌ民族の遺骨6体を保管しているということです。このうちの1体については、1880年発行のドイツの学術誌に、当時、日本に滞在していたドイツ人が、解剖学者に提供するため掘り出したとする記述があることがわかりました。

この中では、「1879年6月、札幌の近くの墓地で掘り出した。夜の闇の中、死者を汚すような行為だったため、急いで頭蓋骨だけを掘り出した」と記されています。
団体のウォルフラム・シーア会長はNHKに対し、「遺骨は非倫理的な形で収集されたことは明らかで、日本に返還する用意がある」と述べました。

団体では、すでにベルリンの日本大使館と連絡を取っており、今後、日本側から正式な返還要請があれば、具体的な協議を行いたいとしています。団体によりますと、ドイツでは、このほかにもベルリン市内の博物館がアイヌ民族の遺骨9体を保管しているということです。