情報化社会の問題
・ 運転技術が十分でも法規知識やマナーが不十分
(小学生が公園で自転車に乗れるからといって、街路を走らせてよいのか?)
→ 引き起こす事故の重大さを知っておく必要性
・ インターネットショッピングの雲隠れ
・ 買った覚えのない請求書
・ 有害情報の氾濫
・ 危険物販売
・ ストーカーや犯罪事件
・ 個人情報の漏洩
・ 攻撃的コミュニケーション
・ コンピュータウィルス
・ クラッカーによるデータ改ざん
・ 不正アクセスによる個人情報流出
・ なりすまし被害
・ 他人のIDを譲渡する(IDの不正使用)
・ 著作権侵害(著作物の無断利用、肖像権侵害、他人ページの無断コピー、ソフトウェア複製など)
例:Webページ上の新聞社の文章を無断で公開、童謡「赤とんぼ」の詩や曲を自分のページに
・ 法+マナーの問題
現行法の不十分さ。自衛策必要
→ ネットワークリテラシの必要(十分な知識を持って自衛を)
・ 匿名掲示板による誹謗中傷
・ 会員のカード番号、住所、氏名、電話番号などが公開される、
・ 懸賞つきのアンケートに回答したユーザーの個人情報が別のページで公開される
・ 閲覧記録などから、個人の嗜好をデータベースとして記録(クッキー)
・ 子供の閲覧情報や個人情報をデータベース化して将来の販売戦略にする場合もある
・ 近年の実例と個人情報の販売[1]
個人情報の侵害例
個人情報を販売しようとする案内メール
・ CC(Carbon Copy)とBCC(Blind Carbon Copy)の問題
宛先欄やCC欄に複数のアドレスを書くと、場合によってはプライバシーの侵害に
→ BCCの活用
・ ページの閉鎖、電話連絡が取れない、商品が送られてこない、違う商品が送られてくるなど
・ 詐欺用架空口座の販売例[2]と警察庁のサイト
悪質商法への注意を行う警察庁のサイト
架空口座の販売メール
・ 危険物の販売
架空講座の販売サイト
薬物の無許可販売[3](自殺願望者のためのもの、大学院生によるもの、中学生も存在!)
爆発物の作り方(原子爆弾!)の紹介など
・ 有害情報の公開
わいせつ表現、暴力表現、個人に対する誹謗・中傷、
嫌がらせで個人情報を勝手に公開される、ネズミ講への勧誘
中学生の薬物販売サイト
自殺願望者のためののサイト。
・ 犯罪にインターネットが使われる例も
バスジャック、殺人、ストーキング等
バスジャック事件の犯人の書き込みとされるもの
・ コンピュータウィルス(コンピュータやデータの破壊、情報漏洩などを行う)
→ IPA(情報処理振興事業協会[4])やウィルス駆除ソフト販売メーカー(トレンドマイクロ社[5]、シマンテック社[6]など)にウィルス情報がある。
・ 不当な自動架電ソフト(国際電話、Q2などに勝手に接続させ料金請求)
・ 迷惑メール(チェーンメールDM、嫌がらせメールなど)
・ 9人にチェーンメールを送る→メール2回で81人、5回で約6万人、10回で約35億人→再び自分のところに戻ってくる → チェーンメールは一旦転送されると異常な勢いで増大し、メールサーバーの破壊、ネットワークダウンにつながる
・ チェーンメールの例[7]と注意を呼びかける警視庁のページ[8]
チェーンメールの例
警視庁のページ
・ 自分のページが知らないうちに不快なサイトからリンクを張られた
リンクを張る行為そのものはURL記述のみなので著作権法上の問題にならず
(他のHPの一部分だけを自分のHPの一部として表示する=フレームリンクは著作人格権侵害の恐れあり[9])
→ 「リンクを張るときには事前に連絡を」という意思表示をすべき
@時間・距離の制約なし |
(1)
時間感覚の相違: 長時間の没頭、主観的時間(あっという間)/客観的時間 空間感覚の相違: 内/外、公/私の区別の曖昧さ |
A身体性の欠如 |
(1)
匿名性=他者の視線なし (2)
自己/他者の身体的痛みの欠如 |
B対人関係の複雑性なし |
いやならすぐ止められる |
→ ネットワーク上での制約の緩さ
・ 現実世界の制約条件が変容→倫理観も変容?
「リセット症候群」、二分法的思考法、匿名性による二重の人格
・ 脳そのものの仕組みが変容してしまうという指摘(ビデオゲーム)
福島章の指摘:「ハードとソフトの変容」、森 昭雄の指摘:「ゲーム脳は若年性痴呆」[10]
・ インターネットが単なるビデオゲームと異なる点
現実とのリンク (相手は現実存在、商取引も発生する)
・ 現実の倫理観は制約の上に積み重ねられてきたのでは?
A) 従来社会 |
場所によって各々の価値観の棲み分けがなされる 例えば芸術家、マスコミ業界という世界だけで通用する価値観 |
B) ネットワーク社会 |
仮想/現実の連続性(同一のパソコン上で異なる価値観が並立) 価値観の棲み分けのあいまいさ |
→ 価値観棲み分けの曖昧さは、われわれの「現実」観、ひいては倫理観の変容を促す
・ 現実/ネットワーク関係の再構築
A) 従来社会 |
長い歴史の中で倫理観を形成(試行錯誤) |
B) ネットワーク社会 |
未だ歴史浅きネットワークコミュニケーション |
→ ネットワークリテラシー(現実/ネットの健全な付き合い方の基礎知識)の必要性
・ メディアリテラシー(情報の一面性の教育)、ネットワークリテラシー(情報発信の仕組みの知識と体験)
自分でwebサイトを(ビデオ、TVなども)作ってみる
・ 個人情報の管理: アドレス、パスワードの変更(自分の事は自分で管理する)
どこまでの情報を公開してもよいのかを明確にしておく
・ 明確なルールやガイドラインを参考に
Media Awareness Networkのガイドライン例[11]
家庭でのオンラインルール
・私は、両親の許可なしでは、決して個人情報をオンライン上で教えません。教えない個人情報とは、私の名前、電話番号、住所、電子メール、私の学校の場所、私の両親の職場の住所と電話番号、クレジットカードの番号などです。
・私は、インターネットを使うときには、いつも偽の名前かニックネームを使います。
・私は、パスワードを作るときには、見破られにくいけれど私にとっては覚えやすいような、一枚上手のものにします。盗まれるのを避けるために、私は決してそれを誰にも漏らしません。
・私は、私を不快にするようなどのようなメッセージにも応答しません。私はすぐにログオフして、大人に伝えます。
・私は、両親のどちらかに知らせて同席してもらえるような場合にしか、インターネット上で知り合った友人と直接会いません。
・私は、オンライン上の誰にも、侮辱したり無作法だったりするメッセージを送りません。これは「フレーミング」と呼ばれ、良いネチケット(訳者注:ネットワーク上のエチケット)ではありません。
・私は、両親がコンピュータに入れたフィルタリングソフトを無効にしません。
・私は、インターネット上で読んだすべてのことを信じるのではありません。私は、いつも情報源をチェックし、それを私の先生、両親や図書館員に確認します。
・ 電子ネットワーク協議会によるさまざまなガイドラインの例[12]
ガイドラインのページ
・ 著作権やプライバシーの相談室がある[13]
著作権・プライバシー相談室のページ
・ 不要な情報から身を守る: 情報のレイティング
Webページの内容のランク付けを行うサイト。接続前にこのサイトを通してフィルタリング
市販のフィルタリングソフトの導入
・ 電子ネットワーク協議会「レイティング/フィルタリング情報」[14]
レイティングを行う機関のページ
・ Web上の様々なページを調べ、不快に思ったサイトについて以下のことをレポートしてください。
A)
ページタイトル
B)
URL
C)
作者(わかれば)
D)
内容
E)
どの点が不快か
F)
あなたはそのような情報に対してどうしたらよいと思うか
・
ニュースサイト(http://www.mainichi.co.jp/digital/netfile/など)や新聞などでインターネットが関係した事件を調査して、それについて意見や対策を考えてみる。以下の項目を盛り込むこと。
G)
タイトル
H)
事件概要
I)
意見
J)
対策
K)
参考サイト・新聞の情報
[1] 情報教育学研究会情報倫理教育研究グループ(編),インターネットの光と影:被害者・加害者にならないための情報倫理入門,北大路書房,2000,p.19. 参考サイトhttp://www.mainichi.co.jp/digital/netfile/ 毎日新聞社インターネット事件取材班,インターネット事件を追う.
[2] 河崎貴一,インターネット犯罪,文芸春秋,2001,p,107.
[3] 河崎貴一,インターネット犯罪,文芸春秋,2001,p,97.
[4] http://www.ipa.go.jp/
[5] http://www.trendmicro.com/jp/home/enterprise.htm
[6] http://www.symantec.com/region/jp/sarcj/index.html
[7] 辰巳丈夫,情報化社会と情報倫理(情報がひらく新しい世界3),共立出版,2000,p.94.
[8] 警視庁ハイテク犯罪センター http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/haiteku/haiteku/haiteku1.htm
[9] 久保田裕・佐藤英雄,知っておきたい情報モラルQ&A,岩波書店,2002.,p.151.
[10] 福島章,子どもの脳が危ない、,PHP新書,2001.(上智大学:犯罪心理学。脳のハードが環境ホルモンによって変容し、脳のOSが幼児期からのテレビによる絶え間ない情報の洪水にさらされて、最近の子供は言語情報ではなく、イメージ的な断片情報しか処理できなくなっているし、それゆえ言語的なルールに縛られるのは苦手で、倫理観も変容している、という議論)
森 昭雄,ゲーム脳の恐怖,NHK,2002.
[11] Mnet:http://www.media-awareness.ca/eng/med/home/medwise.htm。カナダのメディア・リテラシー関連NPOのなかでも特にインターネット上での活動を展開することに専念している。http://www.media-awareness.ca/eng/med/home/manmed/manweb.htmより、一部省略して橋場が翻訳。
[12] http://www.iajapan.org/rule/rule4business/index.htmlおよびhttp://www.iajapan.org/rule/rule4child/main.html
[13] http://www.askaccs.ne.jp/
[14] http://www.nmda.or.jp/enc/rating/index.html