[OSSを理解する]

OSS(オープンソース・ソフトウェア)鳥瞰図2017年版【第1回】

2017年2月15日(水)高橋 千恵子(日本OSS推進フォーラムクラウド技術部会長)

本誌は2012年5月に「OSS鳥瞰図」を作成・公開した。様々な分野ごとに多岐にわたるOSS(オープンソース・ソフトウェア)を俯瞰的に把握できるように、という意図である。しかしOSSの進化は急ピッチであり、新たなソフトウェアが次々に生まれている。この点に問題意識を抱いたのが日本OSS推進フォーラム。クラウド技術部会が中心になって、「OSS鳥瞰図」を完全リニューアルする作業を実施した。(IT Leaders編集部)

 何らかの情報システムを構築する際に有用なのが、オープンソースソフトウェア(OSS)であることは論を要しません。しかしOSSに長けたプロのエンジニアならともかく、あまり使ったことがない方々や企業には今なお敷居が高いのも事実。選択したOSS次第ではトラブル続きのシステムになる可能性があるからです。

 そこでOSSをプロモートする立場にある日本OSS推進フォーラムのクラウド技術部会では、「OSSを活用するために参考となる分かりやすい資料を作ろう」と考えました。検討した結果、メンバーのほぼ全員が知っていたIT Leadersの『OSS鳥瞰図』を最新版にしようということになりました。IT Leaders編集部の許可を得て早速、クラウド技術部会として更新作業にとりかかりました。そうしてできた『OSS鳥瞰図2017α版』が図1です。

図1:日本OSS推進フォーラムのクラウド技術部会が作成した『OSS鳥瞰図2017α版』図1:日本OSS推進フォーラムのクラウド技術部会が作成した『OSS鳥瞰図2017α版』
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 この図をベースにしながら、本連載では、以下の分野におけるOSSの動向を解説する予定です。

(1)クラウド関連
(2)運用管理関連
(3)アプリケーション関連
(4)WebAP/DBおよび開発支援
(5)セキュリティ
(6)ビッグデータ関連
(7)ディジタルトランスフォーメーション

 今回は鳥瞰図のリニューアル方針と(1)クラウド関連を説明します。

OSS鳥瞰図の更新方針

 鳥瞰図の更新においては、2012年の鳥瞰図では重視されていなかったクラウド/ビッグデータを重点的に調査する方針を採りました。その上で(1)クラウドについては「OSS鳥瞰図」を最新のものに書き換える、(2)ビッグデータに関してはデータを扱うという観点でデータフローが分かる「俯瞰図」を作成し、その上で鳥瞰図に取り込むことにしました。それぞれについて説明します。

 「クラウド」については、まず「OS、仮想化、クラウド」というカテゴリそのものを見直し、「仮想化」を充実させました。2012年版は「サーバー仮想化」だけだったのに対し、「Software Defined(ソフトウェア定義型)」の普及を鑑みて、2017α版では仮想化の種類に「ストレージ仮想化」と「ネットワーク仮想化」を追加しました。

 詳細化も図りました。2012年当時はIaaS(Infrastructure as a Service)を実現するソフトウェアが数多く登場し始めたときでした。それが最近では、ほぼ「OpenStack」に集約される状況です。一方で「クラウド」の細分化も検討され、ISO/IEC 17788:2014 においてクラウド内のカテゴリが公開されました。2017α版にはISO/IECの内容を取り入れ、クラウドのカテゴリを詳細化しています。

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