北朝鮮の故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の長男で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄に当たる金正男(キム・ジョンナム)氏がマレーシアで殺害されたことが分かり、正男氏の息子のキム・ハンソル氏(21)らの身にも危険が及ぶ可能性があるとの見方が出ている。
ハンソル氏は海外で生活し、外部に姿を露出することを極力避けてきたが、2012年にフィンランドのテレビ局のインタビューに応じたことがある。このときハンソル氏は金正恩氏を「独裁者」と呼ぶなど否定的な表現を使っていた。
ハンソル氏は11年、ボスニア・ヘルツェゴビナのインターナショナルスクール、ユナイテッド・ワールド・カレッジのモスタル校に入学し、13年にはフランスのパリ政治学院に入学した。
大学に進学した年の12月、金正恩委員長の叔父で金正男氏をサポートしていたとされる張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長が処刑されたため、ハンソル氏の身にも影響が及ぶのではないかとの憶測も流れた。しかしフランス政府の警護により、身辺に危険が及ぶのを回避できたとされる。
しかし、中国政府の保護を受けていたとされる父の金正男氏がマレーシアのクアラルンプール空港の真ん中で毒殺されたことで、ハンソル氏の身に危険が及ぶ可能性も高まった。
一部では金正男氏が亡命を企て、これを知った金正恩委員長が偵察総局に暗殺を指示したとの観測も出ている。仮に正男氏が亡命を試みて暗殺されたのだとすれば、息子のハンソル氏と家族の安全も保障できないというわけだ。
さらに、ハンソル氏が日ごろから北朝鮮の世襲体制を否定的な立場を示している上、開放的な一面を見せてきたため、父・正男氏の死を機に亡命を考える可能性も否定できないとの見方も出ている。