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元“天才子役”坂上忍、子役ブームに苦言「使い捨ての子役養成システムに将来はない」

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坂上忍オフィシャルブログ
「綺麗好きでなにが悪い!」より
 今、テレビ界では、芦田愛菜、鈴木福、本田望結などの“天才子役”たちをはじめ、数多くの子役・タレントが活躍し、“子役ブーム”が起こっているといわれる。

 こうした“子役ブーム”の先駆け的存在であり、1970~80年代にかけ“天才子役”として活躍し、現在は数多くのバラエティ番組などでブレイク中の坂上忍は、5月3日21時~放送のテレビ番組『中居正広の金曜日のスマたちへ』(TBS系)に出演し、子役ブームをめぐる状況に苦言を呈した。

 坂上は1970年、3歳で「劇団若草」に入団し、すぐにその才能を開花させ、1972年、『下町かあさん』(フジテレビ系)でテレビドラマにデビュー。その後、子役として数多くのドラマに出演し、“国民的子役”となったが、それが原因で坂上の両親の仲が険悪となり、父親はギャンブルや事業の失敗から1億円の借金をつくった。そして坂上が15歳の時、両親は離婚し、坂上はその借金を背負うこととなった。

 その後、25歳でその借金を全額返済するが、その間、かつては人気のあった子役たちが、大人に成長することで仕事を失っていく残酷な現実を多く見たという。

 そして坂上は2008年、自身が監督を務める映画の子役オーディションを行った際に、子役たちが事務所から教えられたとおりの機械的な挨拶をして、泣く演技などに誰も特徴がないという実態に直面した。坂上はその時に感じた違和感について、次にように語った。

「みんな可愛くて個性的のあるビジュアルをしていて、ただそれがいざ芝居をやってもらったら……。その時に感じたのが、(自分が子役だった頃と)まったく変わってなくて、腹が立つわ切なくなるはみたいのがあって。使い捨ての子役養成システムに将来がないのは目に見えている」

 そこで坂上は、09年、自身で少人数制の子役タレント養成所『アヴァンセ』を立ち上げ、自ら指導を行っている。

 番組内で放送された指導内容は、生徒3人が1つのグループとなり、短い芝居をやるというものだが、脚本にはキャラクター、設定、終わりの台詞しか書いておらず、肝心の演じる台詞や芝居の内容は生徒自らがつくっていくという独特な方法をとっている。こうすることで、「こなす芝居」を越えた表現力を身につけることができるという。

 番組内では、坂上が授業中、生徒に向かって怒鳴りながら厳しく指導する様子も放送されたが、そうした指導法をとる理由について、坂上は次のように語る。

「大人の役者さんに芝居をつける時と同じスタンスだと思います。もの凄くダメなのに、『そこそこ頑張ったね』っていう言い方をするほうが、子供に対して失礼って思ってるんで。追い込んで追い込んでそれがパンって解放されたときに、多分お芝居の面白さとかっていうのは、子供でもちゃんと感じていただけると思ってる」

 厳しい指導の背景には、「うわべだけの芝居を教えても、将来まったく役に立たない。子供たちの感情を爆発させるため、あえて追い込む」という坂上の狙いがあるという。

 また、実際に番組内で坂上の指導を受けたTBSアナウンサー・山本匠晃に、「こみ上げてくるものがあって、すごく不思議だった。あれはどういう指導法なのか?」と聞かれた坂上は、次のように答えた。

「僕がそういう監督さんに出会って、やられたようなことです。子役の時は“泣き芝居”が多くて、僕も泣くのは得意だったので、いくらでも泣けた。ただ、監督さんによっては、『その泣き方が気持ち悪い』って言われて、もしかしたらこういうことだったのかなって、後追いですけどね。涙を流せば褒めてもらえるというのではなく、できるだけ汚い泣き方を覚えてほしい」

 坂上の指導により、養成所『アヴァンセ』に所属する3~15歳の生徒120人の内、実に70人がすでにデビューしているという。
(文=編集部)