木村拓哉主演ドラマ『A LIFE〜愛しき人〜』5話の感想。
ジェットコースターみたいな回だった。初っ端から浅野忠信演じる壮大の支離滅裂ぷりが止まらない。ドラマではあまりに取り乱してるシーンが多いのでキッチリとオールバックにセットした髪がすぐ崩れてグチャグチャになるといういわゆる「浅野ボンバー」が炸裂するのだけど、5話では開始1分でそうなる。
倒れた深冬(竹内結子)の元に駆けつける壮大(結果、とりあえずただの過労ということらしいが)、病院に戻って沖田(木村拓哉)に
「もう俺が切るよ!
俺だってオペのことは考えてるんだよ、ほら、大脳半球間裂から脳腫と経由して…わかってるよ!こんなんじゃ駄目だってことくらい…!
(紙ビリビリー声ガッサガサ)
ぬああああっ!!!!」
このくだりの愛する人を失う怖さとか、なのに自分じゃオペできず恋敵に頼らざるをえない状況とか、色んなものが混ざりあって爆発する様はもうすげぇ通り越して爆笑する。
そのこともあって冷静な病院経営なんかできるはずもなく、前回で持ち上がっていた病院提携の話はオペナース(木村文乃)のゴタゴタや壮大がなんの脈絡もなく
「死なせるわけにはいかないんだよぉ!!」
と提携病院の院長の前で吠えたためにおじゃんになったりする。そのことを秘書の榊原(菜々緒)にとがめられ、呆れて榊原が出ていこうとすると
「おい!ちょっと…行かないでくれよ…おぉん(自分の隣に座るようソファを叩く)」
みたいに可愛い一面も見せる。で、そのあとエッチして「守ってんだよぉ…はぁ、はぁ…うう」とうなされる。捨てられたネコかよ。
それだけじゃない、まだまだ5話は終わりません。
医学部時代の恩師である山本(武田鉄矢)の医療ミスで体調を崩した患者が病院にやってくるのだが、そのミスを黙っててやる代わりにウチの病院と提携しろと持ちかける壮大。それに同じ医学部の同期だった羽村(及川光博)がキレて壮大とやり合ったり、お前ら絶対学生時代も仲良くなかっただろ。
肝心なことはなにも話そうとしない壮大に冷静な榊原がついに「どうしてなにも話してくれないんですか?私はあなたのなんなんですか!?」のあと食い気味に「ちょっと、出てってもらっていいですか?」の壮大の糞腹立つ感じとか急に他人感出すんじゃねえ。
深冬が症状を知ったときの「沖田先生のメール「おめでとう」って書いてあったね。壮大さんと結婚する時に送ったメールの返信…。何度も見直したのよ、何度も、何度も…。なにを期待したんだろう…私、さっきもね、何度も何度も見たのよ、何度見ても…何度見ても…3センチの腫瘍…?」相変わらずの震え演技。この静かに静かに絶望を受け入れるこれこそが、彼女の持つ『子羊の演技 ラム・アクティング』。
極めつけは、沖田がミスを暴いたことで山本が病院を辞めることになり、キレた羽村が八つ当たり的に沖田をビンタして掴みかかるシーン。木村拓哉がぶん殴られることはそうそうない、犯人役の古畑任三郎かロボ役の安堂ロイドかくらいなので、かなりレアです。