映像記録史上、最大規模の氷河の分離と崩壊
アメリカ人の自然写真家ジェームズ・バログ氏は、北極圏に近くの極寒の地で長期にわたって氷河の消失を観察してきました。 バログ氏は、グリーンランド、アイスランドやアラスカなどに25台カメラを設置し、氷河の変化の姿を捉えた「Extreme Ice Survey (究極の氷河調査 )」プロジェクトを通して、かつて誰も見たことない映像を記録しました。
2008年5月28日、グリーンランドの西に位置するイルリサット氷河を訪れていたのは、プロジェクトメンバーのジェフ・オルロフスキとアダム・レウィンターでした。その日、二人が願っていたのは晴天に恵まれることくらいで、この圧巻の光景を目撃することになるとは思ってもみなかったといいます。
突然、氷河の一角が地響きを鳴らしながら崩壊し始めます。
それは映像記録史上、最大規模の氷河の分離と崩壊でした。
バログ氏自身、プロジェクトを始めるまでは地球温暖化の影響を実感したことはなかったと語っています。2012年のドキュメンタリー映画『 CHASING ICE 』の中で彼は、次のように語っています。
「人間には、大きな惑星の性質を変えるほどの力はないと以前は考えていた。そんなこと、ありえないと」
しかし、ニューヨーク・マンハッタンとほぼ同じ大きさの巨大氷河がみるみるうちに崩れていくさまを目の当たりにしたとき、彼は確信したといいます。
温暖化の深刻さを改めて認識させられる驚くべき映像です。
普段、自分の生活が地球にもたらす影響について考えることはあまりないかもしれません。しかし温暖化に伴う氷河の消失は、確実に加速しています。この先の地球環境破壊の緩和は、私たち一人一人の認識力そして意志にかかっているのかもしれません。