刑務所の受刑者のために所内にスマートフォンを不正に持ち込んだとして、受刑者とその家族、搬入業者が起訴された事件で、大田地裁は11日、被告らに無罪判決を言い渡した。
今回の事件では、大田刑務所の受刑者(41)ら2人が2014年11月、家族にスマートフォンをその他の物品に隠し、刑務所の作業場向けの部品を搬入する業者に宅配便で送るよう手紙で依頼した。それを受け、受刑者の兄弟はわいせつ画像、映画、音楽などのファイルを保存したスマートフォン2台と充電器などを箱に入れ、その上に紙をかぶせた上、マフラー、手袋200双などを乗せ、搬入業者に宅配便で送付した。業者は15年1月、大田刑務所の作業場に入り、被告に箱を渡した。業者はこうした手口で15年2月まで計4回にわたり、スマートフォンなどの電子製品を受刑者のために持ち込んだ。
検察は計7人を偽計による公務執行妨害の罪で起訴したが、大田地裁は「受刑者が刑務官の監視や取り締まりを避け、規律違反行為に及んだことだけで公務執行妨害罪が成立するとは言えない。刑務官が箱を開封し、具体的に検査していれば、物品の搬入を十分に摘発できたはずだ」などとし、むしろ摘発できなかった刑務所側に過ちがあったとの判断を示した。