北のムスダン改良型ミサイル、韓国側はTHAADでのみ迎撃可能

 北朝鮮は12日、中距離弾道ミサイル「ムスダン」の改良型とみられる弾道ミサイルを高角発射(通常の発射角である30-45度よりも上向きに発射すること)したことで、韓国側では終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備の根拠がさらに強まったとの見方が出ている。現在韓国軍と在韓米軍が保有するミサイル防衛システムであるパトリオット(PAC2・3)では、マッハ4-5で落下するミサイルしか迎撃できない。

 高角発射ではマッハ10以上の速度で落下するため、北朝鮮のミサイルを地上から迎撃できるシステムは現時点でTHAADしかない。イージス艦搭載のSM3でも迎撃は可能だが、韓国海軍は保有していない。

 韓半島へのTHAAD配備は2014年3月、北朝鮮が平壌北側の順川付近からノドンミサイルを高角発射したことがきっかけで検討が始まった。当時ミサイルはマッハ6.5-8の高速で650キロメートル飛行し、海に落下した。北朝鮮が後方地域からノドンミサイルを高角発射すれば、韓国全土を攻撃することが可能だが、パトリオットでは迎撃が困難だとする懸念を米国側が受け入れ、THAADの韓国配備が検討されることになった。THAADはスカッド(射程距離300-500キロメートル)、ノドン(同1300キロメートル)、ムスダン(同3500キロメートル)、潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM、同最大2400キロメートル)など北朝鮮のミサイルの大半に対応できる。

 高角発射されたミサイルが韓国の首都圏を狙った場合、慶尚北道星州郡に配備されるTHAADの最大迎撃距離である200キロメートルを外れるとの指摘もある。

 韓国軍当局は北朝鮮がスカッドでも十分な首都圏攻撃にムスダンを使用する可能性は非常に低いとみて、首都圏はパトリオットで、それ以外はTHAADで防衛するのが合理的だと説明してきた。

 韓国政府消息筋は「北朝鮮による挑発が繰り返されるほど、中国がTHAAD配備に反対する名分がなくなる」と述べた。 中国紙「環球時報」の英語版「グローバル・タイムズ」は先月、遼寧社会科学院の呂超研究員のコメントとして、「北朝鮮が米国を挑発するミサイルを発射する場合、トランプ大統領が柔軟で実用的な対北朝鮮政策を取ることが難しくなる。ミサイルが発射されれば、THAADが韓国に配備されるはずで、(THAAD配備撤回にむけた)中国の交渉余地がなくなると確信している」と報じた。

金真明(キム・ジンミョン)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連ニュース