カナダのトルドー首相は13日にトランプ米大統領と初めて会談する。同氏は、5450億ドル規模の米国との貿易だけに議題を絞って会談に臨む構えだ。
トルドー氏はトランプ氏の大統領就任後にホワイトハウスを訪れる3番目の外国首脳となる。トランプ氏は先月、メイ英首相と昼食を共にし、この週末には安倍首相を気前よくもてなしたばかりだ。
政府関係者は、トルドー氏は両国の貿易関係を重視し、会談ではこの議題一つに専念するつもりだと話す。
トルドー政権の対米貿易チームを率いるマルク・ガルノー氏は週末、会談への期待を和らげようとした。同氏はカナダ放送協会(CBC)のインタビューで、今回の訪米は「両国共通の事案を協議するトップ級会談だ」と述べた。
トルドー氏のメッセージはシンプルだ。トランプ氏が北米自由貿易協定(NAFTA)に何らかの変更を加えれば、カナダは保護主義に対して制裁しなければならなくなる。そうした事態を招かないようにすべきだ。どんな変更でも、それで痛手を受けるのは米国民だ、というものだ。カナダ政府のデータによると、カナダは2016年に2670億ドル相当の商品やサービスを米国から輸入しており、米国の約900万人の雇用がカナダとの貿易に依存している。
だが、トルドー氏は他国の首脳らと同様の難題に直面するだろう。多くがトランプ氏を嫌うカナダの有権者の支持を失うことなしに、トランプ氏に取り入ることは容易ではない。
これまでは、米国の大統領が就任後初のカナダ首相との会談でオタワを訪れるのが慣例だった。だが、アナリストによると、カナダで会談した場合に「非常に大規模な反トランプデモ」に遭うことが予想されるため、今回はワシントンが無難だとされた。
トルドー政権で外交政策の顧問を務めていたローランド・パリス氏は「トランプ氏が批判に敏感であることは皆が知っている」と話した。
トルドー氏は移民や気候変動、グローバルな貿易、妊娠中絶などの問題でトランプ氏とは考えが違うが、同氏を直接批判することは避けてきた。
By Anna Nicolaou
(2017年2月13日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
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