朝から地下鉄を利用して出勤していたのですが、駆け込み乗車する人がいたらしく、何度か電車の扉が開いたり閉まったりしていました。
「駆け込み乗車は危険ですので、おやめ下さい」
というアナウンスが何度か流れた後、ようやく出発しました。
ふと気になったんですが、海外の駅や空港を利用する際は、走る人をあまり見かけない気がします。
そんなことを思ったので、今日は「走る」と「歩く」ことについて書いてみたいと思います。
走ることを知らない人達
野村雅一氏が書いた、『ボディーランゲージを読む』という本があります。
ボディランゲージを読む―身ぶり空間の文化 (平凡社ライブラリー)
- 作者: 野村雅一
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 1994/07
- メディア: 新書
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この本によると、アフリカなどでは、走ることを知らない民族があると紹介されています。
アフリカの一部の民族にとっては、走るのは猛獣に追われて逃げ出す時くらいだとされているそうです。
また、ザイールの映画館で上映されたハリウッド映画を観ていると、主人公が走り出す場面があったそうです。
現地の観客は、走る姿を観てドッと笑い出したとか。
走るということは、一部の地域ではとても非日常で滑稽なことだと考えられているようです。
「廊下は走らない」という張り紙
小中学校では「廊下は走らない」という張り紙がされていることが多いと思います。
これは万国共通なのかと思って調べてみたのですが、どうやらそうではないようです。
アジアの国では、建物の中を走ることは非常に無作法なこととされています。
タイでは、廊下や階段を音を立てて歩くことは、大変無作法なことだと言われています。
バングラデッシュでは、女性が音を立てて歩くと親から叱られるそうです。
欧米でも、音を立てて歩くのはマナー違反だとされています。
「廊下は走らない」というのは、家庭で学ぶ「しつけ」の1つであり、わざわざ張り紙するほどのことではないとされている国も多いようです。
ホテルでやりがちなマナー違反
ホテルに宿泊した際、廊下をパジャマやガウン姿で歩いてはいけないということを聞いたことがある人は多いと思います。
海外のホテルに限らず、国内のホテルでも、廊下は公共の場とされています。
そんな廊下を、スリッパのまま歩く人は今も多いようです。
特に、日本の温泉街にあるホテルや旅館の場合は、浴衣姿にスリッパという姿で、離れの温泉まで移動することも多いと思います。
スリッパでなくとも、靴を引きずって音を立てて歩く姿は、外国人にとってはだらしなく見られることが多いようです。
廊下を音を立てて歩くことは、
「スープを音を立てて飲む」
というのと同じくらい、印象が悪いんです。
日本人は「順番」を守るけど「せっかち」なのかもしれない
日本の空港や新幹線のホームを見ていると、入口に綺麗に列を作って並んでいるのを見かけます。
飛行機の場合は、座席が指定されているので、早く搭乗する必要はありませんよね。
でも、搭乗アナウンスが流れた途端、乗り遅れたくないという気持ちになるのか、すぐに列に並び始める人が多いと思います。
新幹線の場合も、指定席を取っているのであれば必ず座れるので、我先に乗り込む必要はありませんよね。
ごく一部の人だけかもしれませんが、人をかき分けるようにして自分の席まで一目散に乗り込む人を見かけます。
「急ぐ」ために「走る」習慣のない国で生まれ育った人や、音を立てて歩くことが無作法だと考えられている国の人にとっては、なぜそんなに急ぐ必要があるのか、理解に苦しむようです。
「マナーを身に付ける」というと、テーブルマナーのことを一番に思い浮かべる人が多いと思いますが、「急ぐために走る」ということや、「建物の中を歩く際の音」についてのマナー違反に関しては、あまり気にしていない人が多い気がします。
モデル歩きのような「美しい歩き方」を無理して身に付ける必要はありませんが、音に気を配るだけで歩き方は自然と美しくなると思っています。