top

 米ウィスコンシン州の小児病院にて、患者だった9歳の男の子と彼の大切なぬいぐるみを一緒に手術した医師がいる。

 9度目の手術を控えた男の子が、片時も離さずに抱いていたボロボロのぬいぐるみ。その縫い目が破れているのに気づいた外科医は、2人の同日手術を提案、男の子は親友と一緒に無事手術を乗り越えた。

 その手術の様子はFacebookを通じてネット上で反響を呼び、子どもたちの心に寄り添おうとする医師と彼らを支援する病院の姿勢は多くの注目を集め、称賛のメッセージが次々舞い込んだ。
スポンサードリンク

Awesome Doctor Performs Surgery On Both His Patient AND His Favorite Toy

9回目の手術をする9歳の少年


 2016年12月、9歳のライアン君はある手術するために州立小児病院に入院し、ぬいぐるみのマイクと一緒に落ちつかない時間を過ごしていた。

 ダウン症といくつかの病を抱える彼は、過去8回もの手術を受けておりストレスや不安は相当なものになっていた。だが、手術が迫ったある日、担当のトラビス・グロート医師は思いがけない提案を持ちかけた。それは"相棒のマイクをライアン君と同じ日に手術する"というものだった。

一緒に手術することになったライアン君とマイク
2
image credit:Youtube

 映画、モンスターズ・インクのキャラクター、マイクのぬいぐるみを心の支えにしていたライアン君。マイクはかなりくたびれ気味で、ライアン君がいつもしっかりつかんでいた腕の部分は縫い目が開き、中身が見えていた。それを見逃さなかったグロート医師は、ライアン君と同じオペ室で彼の腕の再縫合を行うというのだ。

手術前のマイクの腕
3
image credit:Youtube

ライアン君と一緒に手術を受けたマイク


 そして当日、ライアン君は初めてマイクと一緒にオペ室に運ばれた。グロート医師はまず先にライアン君の手術を終え、定められている休憩時間を返上してマイクの手術にとりかかった。

 それを見守っていたライアン君の父親のトニーさんは、マイクが "本当の手術" を受けていることに驚いた。グロート医師は外科用の拡大鏡をかけたまま、術前にマイクの名前と、その手術に関わる医師たちの役割をちゃんと声に出していた。

手術中のマイク
5

 さらに彼は本物の手術用の器具を使い、人の腕を縫うのと同じ方法でマイクの腕を縫合し、手術を終えた。

ライアン君とマイクの手術が注目の的に


 その後、麻酔から覚めたライアン君は、自分と同じように縫われ包帯を巻いたマイクの姿を目にした。9回目の手術を終えた彼には、今回一緒に頑張ったマイクに同志のような親近感が芽生えていた。

6
image credit:Youtube
 
 一方、マイクの手術風景は病院のFacebookを通じて注目され、当初はグロート医師をほめちぎるメッセージが相次いだ。だが彼は、こうした試みは自分だけでなく他の同僚も以前から行っていますよ、と説明した。

 そして今回のエピソードを知り、同様のケースでわが子がお世話になった人々が思い出深い画像を投稿し始めた。

相棒と一緒にレントゲン撮影をしたぬいぐるみ
8

脳手術を受けた幼児とおともだち
7

ネコのぬいぐるみと耳の手術を受けた女の子
9

励ましてくれるマイクと退院したライアン君


 かくしてライアン君とマイクの手術は成功に終わった。その後2人は一緒に退院し、現在は自宅で仲良く療養中だ。

 グロート医師は、子どもの親友であるぬいぐるみを治療するのが、子どもたち自身を癒す支えになり得るとし、自分と同様の手術を受けた同志を目にすることも彼らの励みになるだろう、と述べている。

 彼が勤める小児病院には、患者それぞれを心地よくし、安心させるために尽力する医師や看護師、スタッフたちが集まっている。彼らはあらゆる子どもの体を治療しつつ心も鼓舞する方法を常に考えているに違いない。

via:tmj4chw・translated D/ edited by parumo

▼あわせて読みたい
世界各国の子どもたちに一番大事な宝物のおもちゃを持ってポーズをとってもらった写真集


子どもたちが描いた空想上のいきものに命を吹き込む、落書きぬいぐるみ化プロジェクト


ほらね、痛くないでしょ。怖がる子どもたちに最強の助っ人が現れた。アメリカの小児歯科で働く歯科助手犬


注射嫌いの子どもに対しての医師のパフォーマンスが神対応


人間っていいな:大親友のぬいぐるみを置き忘れてしまった6歳の少年に空港職員が粋な計らい(アメリカ)


この記事が気に入ったら
いいね!しよう
カラパイアの最新記事をお届けします
この記事をシェア :    

Facebook

コメント

1

1. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 11:36
  • ID:nklsdKgb0 #

ブラックジャックがミイラの接骨治療や宇宙人治療を
行ったことを思い出した
医者によっては趣味と腕の鍛えるため、普段からメスを
使いフィギアを製作したり、なぜか料理を行う人もいて
意外にこういう技って医者なら誰でも持ってるのかもね

2

2. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:00
  • ID:IyzfvIbl0 #

ブラックジャックの一エピソードとしてあってもおかしくない話ね…
微笑ましく優しくて温かい。

3

3. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:05
  • ID:VkBVlqXU0 #

俺男だけどこんなん惚れるわ

4

4. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:09
  • ID:uS4d4.Kr0 #

体だけじゃなく心まで救う本物の名医

5

5. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:12
  • ID:g388my6X0 #

なんか映画みたいな話だなあ

6

6. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:23
  • ID:snDZLUzC0 #

こんなババッチイ、ほこりだらけのもんを手術室やICUに持ち込んで大丈夫なのか?

7

7. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:26
  • ID:pEweib3b0 #

いいね素敵ないちゃった

8

8. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:32
  • ID:7wlMC1XK0 #

すごく心の温まる話だけど、
医療従事者の私としてはちゃんと滅菌してるのかが気になる

9

9. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:43
  • ID:MnNlf50L0 #

いい医者だな

10

10. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:55
  • ID:19yBkwXP0 #

温かいなぁ。

11

11. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 12:56
  • ID:RkC.Apau0 #

そこでぬいぐるみの修復代だけを請求すると完全にブラックジャックだけど流石にそれは無理ね。

12

12. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 13:14
  • ID:fOwkHA0d0 #

野暮だけど
一緒にオペ室に入るのは衛生的にどうなの?
と思ってしまった

13

13. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 13:24
  • ID:PzbT8wBo0 #

子どもだけでなく親御さんもこんなお医者さんに任せられたら安心だろうね

14

14. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 13:44
  • ID:e7s7Qsyb0 #

※6
禁止だったら病院のSNSにだって載せられないだろう。てか病院側が許可してる時点で事前に洗濯とか殺菌とかなんとかそれなりの対処をしてるはずだし、問題があるなら中止するはず。

子どもにぬいぐるみぐらい持たせてやったって別にいいだろう
タイトルで察しがつく話をわざわざ読んでいちいち書き込む熱心さ素晴らしいですね尊敬します

15

15.

  • 2017年02月13日 14:04
  • ID:5ajOKRL60 #
16

16. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 14:24
  • ID:XmG.pNLz0 #

で、マイクの医療費はいくらかかったんだい?(アメリカンジョーク)

17

17.

  • 2017年02月13日 14:38
  • ID:zuxSlwxc0 #
18

18. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 15:31
  • ID:M.TC20Tl0 #

気にしている優しい人に。

煮沸消毒できない器具は、紫外線等で殺菌するから、同様のプロセスを経て、おともだち達も清潔にしていると思うよ。
色が染み付くから、まさかイソジンは使わないだろうけど。

からだだけでなく、心もケアする。
素晴らしい病院とスタッフだね!

19

19. 匿名処理班

  • 2017年02月13日 15:35
  • ID:78jdPPj90 #

外科医って手芸や飾り切りとか上手そう

お名前
スポンサードリンク
記事検索
月別アーカイブ
スマートフォン版
スマートフォン版QRコード
「カラパイア」で検索!!
スポンサードリンク