外は香ばしく、中はとろりと甘い焼きねぎスープ

今回は、長ねぎだけを使ったシンプルなレシピ。作り方は簡単でも、外は香ばしく中はとろとろな、長ねぎのうまみと甘みを存分に楽しめるスープです。他の具材を足して、ボリュームアップさせるアレンジレシピもご紹介。
スープ作家の有賀薫さんによる、旬の野菜をたっぷり食べるベーシック・スープのレッスンです。

焼いてから煮るからうまみがギュッと凝縮。酒宴の締めにも。

鍋のシーズンに欠かせない長ねぎ。水炊き、鱈ちり、キムチ鍋など、どんな鍋でも支える底力があります。香味野菜や薬味にも使え、中華料理に麺類にと大活躍。マルチな役者ぶりを発揮するこの野菜を、たまには単体で味わってみませんか。

今回のレシピのポイントは、長ねぎを焼いてから使うこと。鍋で食べるのとはまったく違った、ねぎのうまみと甘み、とろっとした食感に誰もが驚くはず。鍋ひとつでOK、他の材料やだしがいらないからとっても簡単です。

食事どきはもちろん、飲んだ後にこんなスープがちょっと出てくると嬉しいものです。それではレシピをどうぞ。

焼きねぎのスープ

材料(2人分)
所要時間:20分

長ねぎ 2本(白いところ約200g)
オリーブオイル 大さじ1
しょうゆ 大さじ1
塩 少々
胡椒 少々
水 500mL


長ねぎは直径約2㎝の太さのもの。これより太いねぎの場合は長さで調節する

1.長ねぎを切る
長ねぎ
1は根と青い部分を切りおとし、3~3.5cmの長さにぶつ切りにする。★2

2.長ねぎを焼く
フライパンにオリーブオイルとねぎを入れ、中火にかける。両面合わせて5~6分かけてねぎにしっかり焦げ目をつける。★3

3.水を加えて煮る
鍋に塩ふたつまみと水500mLを入れて10 分煮る。しょうゆ大さじ1を加えて仕上げる。器に盛り胡椒を振る。


レシピのポイント解説

・長ねぎの選び方
・長ねぎの切り方
・長ねぎの焼き方

ポイント1.長ねぎの選び方

今回使うのは白い部分がメインの白ねぎです。根深ねぎとも呼ばれます。ねぎが主役なので、ある程度太ったねぎを選びましょう。あまり細すぎるねぎは向きません。切り口の直径で2㎝は欲しいところです。

ずんぐりむっくりの「下仁田ねぎ」も、加熱によってトロッとやわらかくなり、おいしく作れます。下仁田ねぎの場合はかなり太さがあるので輪切りにして切り口を焼きつけて使いましょう。出回る時期が短く今シーズンはもう終わってしまっているかもしれませんが、もし店頭で見かけたら試してみてください。


左3本は太くて短い「下仁田ねぎ」。右3本は根深ねぎ。太めのものを選ぶ

ポイント2.長ねぎの切り方

長ねぎは、3cmから3.5cm、短めのぶつ切りにします。縦方向に繊維が走っているのであまり長いと噛み切りにくくなりますし、口の中で熱い中身が飛び出すこともあるので、このぐらいの長さが食べやすいでしょう。

根の方から切っていくと、白い部分と青い部分の境目はどこまで使うの?という疑問が湧いてきますが、多少青くても中身が詰まっているところまで使い、中が空洞になった部分は切り落としましょう。 青い部分はこのスープでは使わないというだけで、もちろん食べられますよ。

ポイント3.長ねぎの焼き方

厚手の鍋にオリーブオイルをひいて切ったネギを入れてから中火にかけ、両面合わせて5~6分かけてねぎに焦げ目をつけます。最初の3分ぐらいはあまりねぎを動かさず、しっかり焦げ目をつけましょう。この焦げ目こそが、うまみの決め手です。

焦げは、料理ではとても重要な要素。「メイラード反応」という言葉を耳にしたことがあるでしょうか。高温での加熱によってアミノ酸と還元糖が化学反応を起こし、独特の色と香りが生まれた状態です。カリッと焦げた肉のうまみやパンの耳の香ばしさの秘密はこれ。今回のように長ねぎを鍋で色づくまで炒めたときにも、メイラード反応は起こります。焦げたねぎの色や香りが水に溶け出すことによって、スープがおいしくなるのです。

「しっかり焼く」といっても、最初は加減がわかりにくいと思います。下の写真、右二つはまだ焼き方が足りず、左の二つは焼きすぎの例です。ちょっと焦げすぎたかな?と思う真ん中二つぐらいが、スープにもいい味がつき、ねぎ自体も美味しく食べられる焦げ色です。


左2つは焦げすぎ。少なくとも真ん中二つぐらいまでは焦げ目をつける


まだこれでは焼き方が甘い


この焦げ目がうまみやスープの色に変わる

ひっくり返して裏面を焼く頃には鍋肌も焦げ始めているので、焦げたところにねぎを置いて箸で押し付けるようにすると、ねぎにおいしそうな焼き色がつきます。

鍋の焦げ付きが気になる人、あるいは薄手の鍋しかないという人は、この行程だけフライパンでやるといいと思います。鍋と違って油が飛び散りやすいので、蓋をしながら焼いてもOK。

中心までとろけるねぎを楽しんで

今回のレシピは、使う素材が長ねぎだけ、という潔さ。まさにシンプルの極みのスープです。作り方も本当に簡単なのですが、焦がした外側の部分と中心のやわらかくとろけた部分、ほんのり青い部分など、一本のねぎにも違う表情や味わいの変化があることに気づかされます。食べるときに熱い中身がチュロッと飛び出すことがあるので、くれぐれもやけどにはご注意くださいね。


ぜひ熱々をどうぞ!

具をプラスしてボリュームアップ

このねぎのスープは、他の具をプラスしやすいのも大きな特徴です。どんな食材ともうまくなじみ、肉や好みの野菜を加えていけばボリュームアップします。麺のかけつゆにもなるのです。

下仁田ねぎとベーコンのスープ

素材のところで紹介した下仁田ねぎで作ると、とろとろねぎの中心の部分がたっぷり楽しめます。野菜の甘さを実感。ねぎを焼きつけるときにベーコンの薄切りを入れ、塩味で作りました。


ねぎの脇でベーコンも焼くと、とってもいい香り

焼きねぎそば

そばとも相性のよい焼きねぎ。豚を加えて豚南蛮にアレンジ。鶏肉ならかしわ南蛮になります。日本酒のあとの小さな締めにもいいですね。


このスープに市販のめんつゆを足して、豚肉を入れ、そばのかけつゆに

朝・昼・夕、夜食と、どの時間帯にもマッチする万能型のスープです。ぜひお試しください!

参考文献: 『フランス料理の「なぜ」に答える』エルヴェ・ティス著・須山泰秀訳 柴田書店 1999年 『Cooking for Geeks 料理の科学と実践レシピ』ジェフ・ポッター著・水原文訳 オライリー・ジャパン 2011年


スープのレシピや研究成果を発表している有賀さんのnoteはこちら!


有賀薫|note

この連載について

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スープ・レッスン

有賀薫

野菜、お好きですか? おいしい旬の野菜を手に入れたら、ぜひシンプルなスープで味わってみてください。旬の野菜をたっぷり食べる、究極のベーシック・スープをスープ作家の有賀薫さんが教えててくれます。

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コメント

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feilong 1件のコメント https://t.co/zSeMD0eU6n 33分前 replyretweetfavorite

chiruko_t 焼いたネギ美味しい。  34分前 replyretweetfavorite

ShimaPanda_da これ絶対美味しいやつ… https://t.co/IsAVntLo3K 38分前 replyretweetfavorite