Wifiしか使えない端末からスマートフォンなどのモバイルデータ通信を借りてインターネットに接続できる「テザリング」は、複数端末を持ち歩く人には重宝する機能です。ただAndroidではテザリング開始時に毎回、両方の端末で設定操作が必要となるため、頻繁に使う人ほど面倒な思いをしてきました。
そんな面倒を解消してくれるのがAndroid 7.1以降に追加された「インスタントテザリング」。と言っても、1月に公開された「Google Play開発者サービス 10.2」に新機能として追加されていたものが対応機種(Pixel /Nexusシリーズの一部)で一般的に利用可能になったということなので、すべてのAndroid 7.1搭載端末で使えるわけではありません。
インスタントテザリングを具体的に説明すると、WiFiしか使えない端末から遠隔操作でモバイルデータ通信が使えるスマートフォンなどのテザリング機能をオンにして、そのままインターネットに接続してしまうというもの。
同様の仕組みは、iPhoneやiPadなどの場合はInstant HotSpot機能として、またWindowsの場合は MS-TCC(Microsoft Tethering Control Channel protocol)機能としてすでに実装されています。
PCからポケットのWin10スマホをテザリング状態にする魔法の仕組み"MS-TCC"とは?
インスタントテザリングが使える端末
記事執筆時点で、インスタントテザリングに対応する端末は以下のとおり。・ホスト側(接続提供側)
Android 7.1.1以降にアップデートしたPixel, Pixel XL, Nexus 6, Nexus 5X, Nexus 6P
・クライアント側(接続側)
Android 6.0以降のPixel, Pixel XL, Nexus 6, Nexus 5X, Nexus 6P, Pixel C, Nexus 9
Pixel CとNexus 9はクライアントとしてのみ利用できます。
インスタントテザリングの使用条件
インスタントテザリングを使うためには、端末の対応以外に2つの条件があります。1つめはホスト・クライアントとも同じGoogleアカウントを利用していること。あたりまえですが、他人の端末にインスタントテザリングで勝手につなぐようなことはできません。
2つめはホスト・クライアント共にBluetoothがONになっていること。インスタントテザリングを開始するための通信(ネゴシエーション)はBluetoothを使って行われるので、BluetoothがOFFだと利用できません。ただBluetoothがONになってさえいれば、WiFiがOFFの状態でも接続時にホスト・クライアントと共に自動的にONすることができます。
▲BluetoothがOFFだとインスタント テザリングは使用できない。
インスタントテザリングの使用方法
Android 7.1.2のNexus 5Xをホスト、Android 7.0のNexus 6をクライアントとしてインスタントテザリングを実際に試してみました。初回のみホスト側、クライアント側ともに設定が必要ですが、2回目以降はほぼ自動で接続が可能です。▲インスタント テザリングのメニューは、設定の「Google」 > 「インスタントテザリング」にあります。
▲インスタントテザリングの設定。Android 7.1.2のNexus 5X(左)には「データ接続の提供」がありますが、Android 7.0のNexus 6(右)にはありません。
▲初回のみ、それぞれ接続を許可するかどうかを選択する必要があります。
2回目以降は、クライアント側でデータ通信が必要になったタイミングで通知が表示されるので、通知内の「接続」をタップすれば、ホスト側の操作は不要でテザリングが開始されます。
現状ではまだPixelやNexusの一部に限られるインスタントテザリング機能ですが、いずれはそれ以外の端末でも利用可能になることが期待されます。願わくば、MS-TCCのようにWindowsやMacといった異なるOSの間でも使えるようになってほしいものです。