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組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

「働き方論争」が噛み合わず不毛に終わる理由

秋山進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]
【第59回】 2017年2月13日
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「働き方」を議論する際に、互いの実情を知ったうえで話していますか?

 「働き方改革」という言葉が飛び交っているが、何を意味するのだろうか。そもそも現段階においてすら、働き方は一様ではない。

 現代の日本には、大きく分けて4つの働くスタンスがあり、働き方の問題についての意見は、だいたい、そのどこかの立場からの発言となる。そして、少なからず「噛み合わない不毛な論争」が展開されてしまうのは、お互いのスタンスに対する理解が欠けているからではないかと思う。

 働くスタンスは、仕事に対する充実感の度合いと、生活におけるマインドシェア(生活の中で仕事が占める割合)の高さによって決まる。無意味な争いを止めるためにも、個々の主張を一度整理してみよう。

◆「仕事こそ生き甲斐」群

 仕事を通して人は成長する。仕事に没入して初めて自分の限界を超えていくことができる、と考える人たち。そこには「成果」と「能力の向上」があり、仲間と共に働く「協働の喜び」がある、というのが基本的な考えだ。この領域の人とて、長時間の労働を「良し」としているわけではないが、仕事に没入すれば寝食を忘れ、あっという間に時間が過ぎ去るし、別のことをしていても、場合によっては寝ていても、突然新たなアイデアを思いつき、ブレークスルーを起こすような仕事につながることもある。仕事で生み出される創造的な知的作業ほど面白いものはない。そして、このような仕事には、工場労働を基本とし、時間によって管理される現在の人事労務の管理手法はまったくマッチしていない、と主張する。

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秋山 進 [プリンシプル・コンサルティング・グループ株式会社 代表取締役]

リクルート入社後、事業企画に携わる。独立後、経営・組織コンサルタントとして、各種業界のトップ企業からベンチャー企業、外資、財団法人など様々な団体のCEO補佐、事業構造改革、経営理念の策定などの業務に従事。現在は、経営リスク診断をベースに、組織設計、事業継続計画、コンプライアンス、サーベイ開発、エグゼクティブコーチング、人材育成などを提供するプリンシプル・コンサルティング・グループの代表を務める。京都大学卒。国際大学GLOCOM客員研究員。麹町アカデミア学頭。

著書に『「一体感」が会社を潰す』『それでも不祥事は起こる』『転職後、最初の1年にやるべきこと』『社長!それは「法律」問題です』『インディペンデント・コントラクター』『愛社精神ってなに?』などがある。


組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進

日本には数多の組織があり、多くの人がその中に属しています。組織は、ある目的のために集まった人たちで成り立っているにも関わらず、一度“病”にかかれば、本来の目的を見失い、再起不能の状態へと陥ります。しかも怖いのが、組織の中の当人たちは、“病”の正体が分からないどころか、自分たちが“病”にかかっていることすら気づけない点です。

この連載では、日本の組織の成長を阻害している「組織の病気」を症例を挙げて紹介。コンプライアンスの観点から多くの企業を見てきた筆者が考える治療法も提示します。

「組織の病気~成長を止める真犯人~ 秋山進」

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