【ソウル=山田健一】韓国軍合同参謀本部は12日夕、北朝鮮が同日朝に発射したミサイルについて、中距離弾道ミサイル「ノドン級」の可能性が高いとする見方を修正し、「(新型の中距離弾道ミサイル)ムスダン級の改良型と推定される」とする新たな見解を示した。ノドンの射程1300キロメートルに対し、ムスダンは3000キロメートル以上と射程が長い。
北朝鮮は、ムスダンを米領グアムまで射程に入れることを前提に開発しているとされる。韓国軍の推定が正しければ、日本のほぼ全土を射程に収めるノドンの試験発射と比べて、米国のトランプ新政権に対するけん制という意味合いがより強まることになる。
韓国軍関係者は12日昼、飛行距離(約500キロメートル)と高度(約550キロメートル)を参考にミサイルが「ノドン級と推定される」と述べていた。その後、情報収集を進めた結果、「ノドン級よりもムスダン級の改良型ミサイルである可能性が高い」との判断に至ったという。具体的には、ミサイルの燃料を従来の液体から固体に変える新しい技術を試した可能性がある。
北朝鮮は昨年10月下旬まで計8発のムスダンを打ち上げ、うち成功したのは昨年6月の1発だけと、韓国政府は判断している。韓国軍は今回の発射について「さらに分析を進める必要がある」として成否の判断を示していない。ただ飛行距離は昨年6月の時より100キロメートル程度延びており、ムスダンだとすれば一定の成果を収めたとみられる。
北朝鮮が年初に試験発射の構えをみせていた大陸間弾道ミサイル(ICBM)の可能性は低いと推定しているもようだ。