中国広州の超ローカル路地裏・残念グッズ紀行
13日まで中国広東省に出張しており、省都の広州で現地在住のライター・山谷剛史さんと合流した。↑街角で麻雀を打つ広州住民のみなさん(安田撮影)
念のため山谷さんについて解説すると、彼は中国を中心にアジアのIT事情ウォッチ――特にローカル電脳街のトホホなITガジェットを発掘することを趣味兼ライフワークにするという、独自の道を突き進む中国ITライターである。
どのくらい独自の道かというと、仮に透明マントを手に入れて臨終寸前の江沢民の病室に忍び込むことに成功しても「ほー、江沢民ってシャオミの携帯使ってるのかー。おっ、アプリに大衆点評を入れてる。なるほどすっげー」と、元中国最高指導者の携帯の機種と使用アプリだけを丹念に確認したら大満足して家に帰るに違いないと某同業者から噂されるほど彼は独自である。
山谷剛史の「アジアIT小話」 (ASCII.jp)
アジアIT闇鍋紀行 (ジセダイ)
で、 その山谷さんに案内されつつ広州のアングラ電脳街や城中村(=「都市の中の農村」。中国特有の事情によって形成されたスラム的な場所)をブラブラしていたところ、例によって楽しいものをたくさん発見してしまった。
中国のローカル市場にヘンな物が置いてあるのは自明のことだ。だが、事前に出現を予測していてもそれをK点越えで凌駕するヘンすぎる物体が見つかるのが中国である。以下、私と山谷さんの発掘成果をご覧ください。
【1.残念スーパー】
市内の小北地区に残念なスーパー兼ホームセンターがあった。
やあ、ぼくプッキー。ハチミツとチーズと、本物のキャラを知らずに僕を買う中国人民が大好きさ。ちなみに頭上のリボンは取り付けがガッタガタだよ。
激安の電熱湯たんぽ。版権・縫製・安全性と走攻守の三方向にわたってヤバさを撒き散らす逸品。
5元のニワトリ。ネジを巻くとベコベコと飛んで走る模様。お子様の情操教育に。
尖閣諸島の写真が無意味にパッケージに貼られた鍋。「国産品を使いませう」とのことで、中国の愛国プロパガンダがどういう層に受けているのかよくわかるというか。
中国家電メーカー「美的(Midea)」をパクった「美白勺(MeiHdi)」のガス部品。パクリの元ネタにすらソニーやパナソニックではなく国産の美的を選ばざるを得ない自信のなさが悲しい。
90年代のPCホラーゲームっぽい消臭剤。無意味に入った「♪」が一層怖い。Hパワーだし。
【残念路地裏商店】
ミ●ーちゃんもどきが地獄断面を食らった赤ちゃん服。
トイリート。
瞳孔が開いたガン決まりのネズミと異常に手足が長いドラと謎のピンクの豚。ダメゼッタイ。
アナ雪のパッケージの箱の中に入ったパネマジ人形。ありのままでは許されないこともある。
【残念ファーストフード】
中国語でマックは麦当労、KFCは肯德基。なので本店はマクタッキー(MCK)。なんとここが全国チェーンの本店であるという。東京でいうと鶯谷のラブホ街の裏路地みたいな場所なのだが……?
ポテトを買ってみたら油が古くて明らかにヤバい味。言葉通りのジャンクフードを体現する。
なんと公式ホームページを持っていると主張。なのにURLにアクセスすると開けないっぽい(クリックは自己責任→ www.maikenji.com )。ちなみに下に敷いてある紙には「この紙に飲食物を接触させないでください」と書かれていた。おしゃれな印刷をしたはいいが、安全性が保証されたインクを使うコストをかけられなかった模様。ポテトが紙に触れたらアウトである。
ちなみに上記で紹介した残念写真の数々は非常にディープな地域で撮影したものばかりであり、いまどきの広州は(実に名残り惜しいことに)普通の場所だとマトモなものの方が多い。なのでくれぐれも現代中国社会を誤解しないでいただきたい。
でも、こういうのを見つけるのは実に楽しいのである。