まさに「ゴルフ外交」ともいうべき日米首脳会談だった。筆者は、昨年11月21日付け本コラム(「断言しよう。異例ずくめの「安倍・トランプ会談」は満点外交だ!」http://gendai.ismedia.jp/articles/-/50256)で「ゴルフ外交」が行われるだろうことを書いている。その当時、あまりに楽観的過ぎると酷評もされたが、おおよそ、その当時に予想した展開どおりとなった。
日米首脳会談のおおよそのスケジュールは以下のとおりだ。
10日 首脳会談→昼食(ワーキング)→大統領専用機・エアフォース・ワンでフロリダのトランプ大統領別荘へ→夕食→フロリダ泊
11日 朝食→ゴルフ→昼食→ゴルフ→夕食→日米共同記者会見→北朝鮮非難→フロリダ泊
12日 帰国
海外出張する際、はじめに決めるのが、宿泊場所と食事だ。安倍首相のスケジュールを見ると、「トランプ一色」の宿泊場所と食事だ。5回連続でトランプ大統領と食事し、2泊連続でトランプ別荘泊。これだけ、濃密な関係をトランプ大統領ともっている先進国首脳は他にはいないだろう。
良くも悪くも、世界中がトランプ大統領の一挙手一投足に注目している。世界中の首脳が、トランプ大統領の生の情報をほしがっているはずで、安倍首相は現在世界一のトランプ・インサイダーであろう。世界の首脳が安倍首相1対1で会うとき、「トランプはどう?」といった会話があるに違いない。
安倍首相はそのときどう対応するのか、興味は尽きない。欧米のメディアも、今回の日米首脳会談は、安倍首相の勝ちといった論調が目立つ。そのとおりだろう。
首脳会談の中身はといえば、会談が40分しかなかったので、日米関係の基本しか押さえていない。ただし、尖閣諸島が日米安保の範囲であることを確認し、さらには「米軍を受け入れてくださり、日本に感謝している」とまで表明した。大統領選中の過激な日本批判はまったくなかった。ここが重要なのだ。
しかも、5回連続で食事をして、ゴルフも27ラウンドこなしている。アメリカでのゴルフは、キャディーも同伴せずに、2人または4人だけで歩きながらラウンドする。その間、基本的には話しながらである。
この濃密な日米関係は、日本の安全保障において得がたいメリットだ。尖閣諸島への進出野望を隠さない中国は、トランプ大統領と安倍首相の笑顔のツーショットをどう思っているだろうか。