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【日米首脳会談】
“最高の日米蜜月関係”でもなかった招待…アジア政策は「日本が軸の決意」と元NSCアジア上級部長 日米ウィン・ウィンの“秘策”は兵器開発
一方で、「雇用を外国から取り戻す」と唱える大統領が、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)に代わる日本との自由貿易協定の締結を視野に、自動車貿易や為替の分野で日本に厳しい要求を突きつける恐れが消え去ったわけではない。
今後の日米関係の「主戦場」となることが確実な経済分野。ここで日米が「ウィン・ウィン」の状況を築くことはできるのか。その処方箋は、会談後の共同記者会見での大統領の発言に埋め込まれていた。
「同盟関係にさらなる投資を行い、両国の防衛能力をさらに深めていきたい」
日米政府筋が明かしたところでは、両国は現在、貿易不均衡の解消と共同防衛能力の強化を同時に推進させる「秘策」として、F35戦闘機といった最先端の防衛装備品の大量調達に加え、南・東シナ海情勢をにらんだ新型兵器の共同開発を水面下で模索している。
中でも有力視されるのが、尖閣諸島(沖縄県石垣市)などの島嶼(とうしょ)防衛を念頭に置いた米国製AAV7に代わる水陸両用車と、南シナ海などでの中国の接近阻止・領域拒否(A2AD)戦略に対抗するための対艦ミサイル防衛兵器の共同開発だ。対艦ミサイル防衛では、現行の火砲で使用できる長射程の超高速発射体(HVP)を軸に検討が進められているという。
「安全保障」と「経済」を密接に絡ませ合ったパートナーシップ。これこそが大統領の思い描く日米の未来像なのだ。(ワシントン支局長 黒瀬悦成)