【コラム】不確実なのは米中ではなく韓国の方だ

【コラム】不確実なのは米中ではなく韓国の方だ

 米国のドナルド・トランプ大統領が2011年と15年に書いた本を読んでみた。どちらも翌年の大統領選挙への出馬を狙っていた際に書いたものだ。4年の時差があるものの、本の内容はよく似ている。中国を狙った貿易戦争、米国の雇用を守る保護貿易、不法移民の取り締まり、オバマ・ケア(医療保険制度改革)廃止などを共に扱っている。トランプ氏は当選後に公開した「就任100日計画表」にこの内容をそのまま取り入れた。今トランプ氏が急いでいる貿易、国境、人種の障壁建設に、全世界は「超不確実性の時代」が到来したと言う。しかし、トランプ氏の立場からすると、少なくとも2011年から予告していた内容を行動に移しているにすぎないのだ。

 トランプ大統領は、2011年に書籍で韓米FTA(自由貿易協定)について「貿易不均衡の解消効果はすずめの涙ほどで、むしろ米国の製造業の基盤を脅かし、働き口をなくしてしまうだろう。米国で販売される韓国製の製品に賦課する関税だけをなくす結果を生むことになる」と書いた。在韓米軍については「世界平和のためにはいいことだということまでは理解できる。しかし、韓国政府はどうしてその費用を負担しないのか」と書いた。韓米FTAと在韓米軍の分担金に問題があると主張するトランプ氏の認識は、昨年の大統領選挙で「にわかづくり」されたものではなく、すでに5、6年前からそう考えていたということだ。

 確実という単語は中国からも探し出すことができる。まさに米国の最新鋭地上配備型迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD、サード)に対する報復」の決意だ。最近出会った中国の外交官や中国の韓半島(朝鮮半島)専門家たちは例外なく「中国はTHAADに対する報復を始めてもいない。THAADが配備されれば行動に出る」と口をそろえる。これらの専門家が報復を予告する根拠は、習近平・国家主席兼共産党総書記が3回も直接「THAAD不可」を公言したという点にある。一党独裁国家である中国は、共産党の権威を何よりも重視する。党の権威は一度揺さぶられると内外から引き続き挑戦を受ける恐れがあると考えられている。中国国内では「始皇帝」と呼ばれる習近平氏の言葉は、一度発せされると変更できない雰囲気がある。

アン・ヨンヒョン国際部次長
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