今年から2019年までの間に大学を卒業する若者は、過去最悪の就職氷河期に直面する見通しだという。この3年間の大学卒業生の数は過去最多のレベルだが、一方で企業の採用数が引き続き減少を続けているのがその理由だ。昨年最大で9.8%を記録した15-29歳の若年失業率も、今年になって史上初めて10%を突破することが確実な情勢だという。
若者の就職難はここ最近の話ではないが、今や雇用がほぼ改善し、若者の就職では完全な売り手市場となった日本と比較すると、韓国の現状は一層悲惨に感じられる。日本もいわゆる「失われた20年」の期間中は若者の就職難に苦しんだが、ここ数年は2000年代以降の構造改革の効果が徐々に表れ、若者の就職先は増加を続けている。その結果、現在日本では新卒者たちが就職先をえり好みするのが普通で、昨年の日本の大学新卒者の就職率は97.3%、高卒者も97.7%に達したという。
日本と韓国の間で就職率にここまで差が出た理由は規制緩和だ。かつて日本は「規制大国」とまで言われたが、2000年代に入ると当時の小泉政権は地道に規制改革を進め、企業の活動を活性化する政策を推し進めた。さらに現在の安倍政権発足後は首相直属の「規制改革会議」を立ち上げ、さまざまな分野で果敢に規制の撤廃あるいは緩和を行っている。例えば規制をなくした特区を各地に設置し、産業競争力強化法など強力な法改正を同時に推し進めたことなどはその典型例だろう。その結果、規制緩和で新しい産業を生み出す戦略が成功を重ね、若者の雇用も大きく改善しているのだ。
これに対して韓国では企業の活動を締め付ける古い規制が今や雇用まで奪い去っている。サービス分野の規制を緩和するサービス産業基本法、ドローン・自動運転車などの規制を緩和する規制フリーゾーン特別法など、新しい産業と雇用を生み出す多くの法律は今も野党の反対で審議が進まない。ちなみに彼ら野党の発想は数十年前の運動圏(左翼系の学生運動グループ)が持っていた考え方に基づいている。彼らの主張は、規制を緩和すれば例えば病院が利益の追求に走り、大企業だけが恩恵を受けるといったものばかりだが、このようなおかしな理由で野党は今なお反対を続けているのだ。
ある有望企業は遺伝子のビッグデータ関連事業を始めようとしたが、これを違法とする関連法が韓国にあるため米国への移転を真剣に検討しているという。また中古車をネットで取引する企業が規制を理由に廃業するケースもあった。このような状態を放置して雇用の拡大を望むのは、砂漠で水を探すのと全く同じことではないだろうか。