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政治コラム「だまってトイレをつまらせろ」でわかる朝日新聞の落日

降旗 学 [ノンフィクションライター]
2016年3月12日
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 〈憲法学の重鎮、東大名誉教授の樋口陽一さん、80歳。先々週の金曜日の夜、10代、20代前半の学生らが結成した「SEALDs」が主催する、安全保障関連法案への国会前抗議行動に参加した(中略)

 「不真面目な人たちによって、戦後日本が営々と築き上げてきたものが解体される瀬戸際にある」「それに甘んじることは、我々が辱められること。跳ね返しましょう」

 場が沸き、拍手が起こる。「デートをキャンセルして来た」と言う女子大学生。「首相に勉学意欲を刺激され、賢くなっている」と皮肉る男子大学院生。「私たちが目指す平和は『平和安全法制』の中にはない」「国民なめんな!」「勝手に決めるな!」。これからを生きる世代の言葉と、これまでを生きた先達の言葉が路上で混ざり合った(中略)「私の言う通りにすれば間違いないぞ」とうそぶく政治権力に、自分なりの言葉とスタイルで対峙しようとしている〉(社説余滴「いざという時」が来た/2015年7月3日)

 〈(前略)戦後70年の夏、全国各地で、若い世代が反対の声を上げ始めている。彼らは自分たちが享受している平和や自由が、何と引き換えだったのか、歴史の中に身を置き、自分の頭で考えている。だからこそいま「誰も殺すな」と声を響かせ、次の世代の目印となる旗を立てようとしているのだと思う〉(社説余滴「一息で言う」ということ/2015年8月7日)

 朝日新聞はSEALDs支援に余念がないが、つい先ごろ、SEALDsも公安調査庁の「監視対象」になりました。共産党やオウム真理教と同じ立場になったわけです。

 監視と言えば、メディアが政権を監視し、そのうえで批判するのはお役目のひとつだが、読者・視聴者の誘導はご法度だ。左派政党と隣国の「機関誌」然とした記事ばかりが目につく朝日新聞をクオリティペーパーと呼ぶことに私は首を傾げるが、元週刊朝日編集長の川村二郎氏も、朝日新聞の劣化を嘆いている。

 「いちばんの問題はこの人が政治部の次長だということ。若い記者の書いた文章を、こういう人が直して、同じような記者を作っていくかと思うと、恐ろしいね」

 恐ろしいです。

 でも、とどのつまり、「だまってトイレをつまらせろ」にきらめく何かを感じた高橋純子次長サンは、朝日新聞は便所紙レベルのニュースペーパーですよってことをカミングアウトしたかったんじゃないだろうか。朝日はもうすぐ沈むのだと。それならみんな納得する。

参考記事:朝日新聞2月17日・19日・28日付
週刊新潮3月10日号他


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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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