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政治コラム「だまってトイレをつまらせろ」でわかる朝日新聞の落日

降旗 学 [ノンフィクションライター]
2016年3月12日
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 「森喜朗さんが首相だった00年に番記者を務めたときは、慣例だった番記者による誕生日プレゼントを拒否して話題になりました」

 だったら幹事社制度にも異を唱えてくれればいいのに ← 記者会見では、持ちまわりで「幹事社」が決められ、会見前に段取りを説明する。そして質疑応答ではX社、Y社、P社の順に質問しますので……、と質問者を割り振っていく。ひどいときにはあらかじめ質問状が先方に渡されていたり、会見後は輪になって「答え合わせ」をする。あのときはこう言ったよね、あの発言はこういう意味だよね等々。それが政治部記者の正体。高橋次長サンのご同輩が続ける。

 「09年には、『自民党支持者だった奈良県の元森林組合長が、悪政に愛想を尽かし民主党と共産党との選挙協力を主導している』という記事を書いたものの、当事者から抗議を受け、おわびを掲載しましたし、これまで過去の同じコラムでも、再三安倍批判を行なっています」

 09年1月11日、高橋次長サンは朝刊の一、二面に『ルポにっぽん 解雇…そこには共産党』という記事を書いたが、これが朝日のお家芸でっちあげだった。嘘をつくりあげる朝日の伝統は、高橋次長サンにもしっかり受け継がれていたのである。

 記事に取り上げられた元森林組合長から人権救済の申し立てがあり、朝日新聞社の『報道と人権委員会(PRC)』は、高橋次長サンが書いた記事には「事実として認めることができなかった」との見解を発表。後日、「おわび」を掲載した。

 高橋次長サンの過去の記事を読むと、なるほど、安倍政権嫌いなのがよくわかる。

 〈下がり続ける投票率と、それにもかかわらず「選挙に勝った我々こそ民意だ」とばかりに独善的に振る舞う政治家(中略)首相は昨年、消費増税の先送りについて国民の信を問うと衆院を解散した。ところがいま、安保法制の整備も公約だった、それで選挙に勝ったのだから国民から支持を得た、と涼しい顔をしている(中略)

 「レッテル貼りだ」なんてレッテル貼りにひるむ必要はない。さあ、奪いにいきましょう。堂々と貼りにいきましょう〉(社説余滴「政治=選挙」ですか?/2015年5月22日)

 高橋次長サンは、安倍政権にレッテル貼りをしよう、と呼びかけるのである。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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