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政治コラム「だまってトイレをつまらせろ」でわかる朝日新聞の落日

降旗 学 [ノンフィクションライター]
2016年3月12日
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 高橋次長サンの難解でハイレベルかつハイブロウな原稿を私ごときの拙い読解力で解釈すると――、安倍政権の指針方針実力行使は私たちの生活を脅かす、だからときにはトイレを詰まらせるくらいの強硬手段をもってしてでも抵抗しよう、だってぼくらはみんな生きているんだもん、と言いたいようだ。

 でなければ、ぼくらはみんな生きているんだから、トイレを詰まらせて会社に迷惑をかけよう、業務を停滞させよう、抵抗マンセーと言っているとか?

 高橋次長サンのコラムを、産経新聞・古森義久ワシントン駐在客員特派員は、「あまりにくだらなくて鳥肌が立った」と評した。同感である。元毎日新聞編集委員でジャーナリストの徳岡孝夫氏は「大新聞というより、高校の校内新聞に出てくるような記事。文章が幼稚で下品」と評した。ごもっともです。

 このコラムを取り上げた週刊新潮は「アジテーションや独善的主張、説明不足のオンパレードで、いまどきの女子高生のほうがもう少しまともな表現をする」と切り捨てた。高橋次長サンの表現力は難解なのではなく、JK以下だったのである。

 「“一刻も早く安倍体制を終わらせたい”という朝日の執念が伝わってきて、興味深く読みましたよ」

 こんな感想を口にしたのは、高橋次長サンには先輩にあたる朝日新聞・元経済部記者の永栄潔氏だ。朝日は、安倍ちゃん……、もとい、安倍総理がお嫌いなのだ。

 「“だまってトイレを”というのは、問答無用の発想ですよね。話しあいなどは一切なく、安倍は危険だから次の選挙で間違っても自民党に投票してはいけませんよ、と言わんとしているのだと思いました。それでいわゆる権威や制度、世間の仕組みを拒否する、超過激な思想の人を紹介することにしたのでしょう。憧れがあるんだろうけれど」

 あの文章をそこまで読み解くとは恐れ入ったが、永栄氏が続ける。

 「コラムでは、総理が“この道しかない”と言ったことを批判していますが、政治とはそもそもそういうもの。自民党が“この政策しかない”と言い、それに対して野党が“いや、こっちが最善だ”と主張をぶつけ合って議論する。これが代議制なのです。それを彼女は、為政者に言われたくないと書く。これでよく政治部の記者が勤まりますね」

 先輩に政治記者に向かないと言われた高橋次長サンは、かなり問題がある人らしい。筋金入りの「反権威・権力」主義者なのだと朝日の同僚記者が明かす。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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