2月11日
グリーンルーム
モンキーは怖いのが苦手です。でも去年ホラーやスリラーものが軒並み高評価だったという話を聞き、ここは克服するしかない!と。なので今年は頑張って積極的にこういう映画を見ようと思った次第です。
そんな決意表明を掲げ、まず飛び込んだ作品は、去年の「したコメ」で話題だった、インディペンデント映画ながら全米1位を記録し、批評家サイトでも高評価をたたき出したといわれるサバイバルスリラー映画。早速見てまいりました。
作品情報
激しい暴力描写で21世紀のサム・ペキンパーとまで言われている監督の最新作は、「グリーンルーム」=楽屋という限定されたシチュエーションで新境地を開拓した意欲作。徹底したバイオレンスとスリリングな緊張感満載のサバイバルスリラー映画です。
あらすじ
売れないパンクバンド「エイント・ライツ」は、ようやく出演が決まったオレゴンの僻地にある名もなきライブハウスに出向く。
しかし、そこは狂気のネオナチ集団の巣窟だった―。
殺伐とした雰囲気の中、なんとか無事に演奏を終えたバンドメンバー達だったが、バックステージで運悪く殺人現場を目撃してしまう。
冷酷なネオナチのボスは全ての目撃者を消すことを部下たちに命じ、メンバー達は全員命を狙われるはめに。
状況は圧倒的に不利、人数も武器の数も絶望的に負けている。
恐怖におびえるバンドメンバーたちは、楽屋に閉じこもり時間を稼ぎながら脱出を企てるが、重装備のネオナチ軍団が次々に襲い掛かり、メンバー達を血祭りに上げていく……。(HPより抜粋)
監督
監督はジェレミー・ソルニエ。
はい、どなたか存じ上げません。でもこの人が手掛けた作品「ブルーリベンジ」という作品自体は知ってます。気にはなってましたが避けて生きてきました。反省です。気になったら見ないとダメですね。
2007年にホラーコメディ「Murder Partty」で長編映画デビューした後、撮影監督を経て、作り上げた第2作「ブルーリベンジ」がカンヌ国際映画祭監督週間の国際映画批評家連盟賞をはじめとした5つの賞を受賞し、世界に名をしらしめたそうです。
キャスト
主演バットを演じるのは、これが遺作となったアントン・イェルチン。
本当に惜しいです。まだ20代ですよ。これからもっといい役者になっていくはずだったのに・・・。「スタートレックBEYOND」では彼を目に焼き付けながら鑑賞していました。
これまで彼が出演した作品を、心を込めて紹介したいと思います。
彼は子役からキャリアをスタートしていました。父のいない少年と不思議な能力を持つ老人との心の交流を描いたヒューマンドラマ「アトランティスのこころ」で知られるようになります。
成人してからは、宇宙冒険譚の金字塔をリブートした「スタートレック」でチェコフ役に抜擢。その可愛らしい表情と縦横無尽に駆け回る動きは、新たなチェコフ像を生み出し、物語にユーモアと若さと疾走感を与えてくれました。その後も「スタートレック イントゥダークネス」、「スタートレックBEYOND」とレギュラーとして活躍、
残念ながら駄作となってしまった「ターミネーター4」でもキーマンとなるカイル・リースを熱演、音楽が趣味の息子を亡くした父が、青年とバンドを組み、息子の曲を歌いながら再び生きる目標を見出していくヒューマンドラマ「君が生きた証」でもミュージシャンの役として演奏を披露するなどの多才ぶりを発揮しています。
アントン主演作で一番好きなのがこの作品。
死者の霊が見える少年が、霊の存在により町が危険にさらされてることに気付き、それを阻止するべく奔走するストーリー。
霊たちの姿がおぞましく、ホラー感は満載ではあるものの、恋人との恋愛模様や、どこか探偵チックな設定、心地よく進む話の展開、アントンが持つ独特な❝普通じゃない❞感が役に見事にハマっていて、単純に面白い。そしてラストの展開に自然と涙が出てしまう切なさ。決して損しない1本です。
他のキャストとして、楽屋で殺害現場に遭遇していたアンバー役に「フライトナイト」に続いてアントンと2度目の共演となるイモージェン・ブーツ、ネオナチのボス・ダーシー役に、X-MENシリーズでプロフェッサーX役として長く活躍しているパトッリク・スチュワート、バンドメンバーであるタイガー役にカラム・ターナーなどが出演します。
はたして閉じ込められてしまったパンクバンドたちがどんな攻防戦を展開するのか、またどれだけバイオレンスな描写なのか、私はそれを何度目をそむけてしまうのかww?
ここから鑑賞後の感想です!!!
感想
暴力には暴力で戦うしかない!決死の攻防戦の始まりだいっ!!!
以下、核心に触れずネタバレします。
目瞑らずに見れた!
まずは率直な感想を。
95分という短い時間、そして低予算にもかかわらずわかりやすいプロット、わかりやすい本題突入、わかりやすい暴力描写。美しい森の中と落書きだらけの楽屋、このコントラストもうまい、うん、面白いじゃないか!!
パンクバンドがネオナチと戦うってだけの話なのに簡潔に見せるこの技術。B級映画だけど、内容はA級でございました。
いやぁ見る前は目瞑らないように!怖いの少なめで!驚かさないで!なんてビビってましたけど全然大丈夫でしたwあれ?俺イケるんじゃね?こういうの。
運命に抗え!!
ガソリンを盗んででもしないととてもツアーなんてでき奈ほど貧乏なバンド「アインツライツ」。伝手を頼ってライブをしたものの、色々差っ引かれてギャラは一人6ドル。ざけんじゃねえ!わかったわかった、オレのいとこに仕事紹介してもらうから勘弁してよ!
そんなこんなで訪れたライブハウスがネオナチの巣窟で、こんなアウェーな状況でビビってる場合じゃねぇ!俺らのロック魅せつけてやろうぜ!とりあえず一発かますか!とナチパンクスぶっ殺すぞ!なるどこぞのバンドのカバー曲を披露!おいおい殺気立ってんじゃねぇの?なんて思ってたらそこそこ好評!オーディエンスはパンクバンドのライブでよくみられるモッシュで暴れまわるくらいノリノリ。
無事演奏終了後楽屋に忘れ物を取りに戻るとそこは殺害現場、女の子の頭に刃物が刺さって倒れてんじゃねえか!おいおい警察呼ぼうぜ!ちょっとまってちょっとまってお兄さ~ん、とブッキングマネージャーにより携帯没収。
はいはい君たちは楽屋にいてね~大丈夫だからねぇ~、楽屋には前髪ぱっつんゴールドヘアーの女の子と恐らくやったのこいつだろ?みたいないかついヘビメタ好きそうなデブ。
おいおいなんかこの状況ヤバくね?警察に電話しても来たかどうかもわからない。扉の前にはWWFのプロレスラーみたいなやつが立ちはだかる。このままでは殺される!
こんな感じでラウンド1へ突入。まずはレスラーのお前銃よこせ!!張り詰めた均衡状態の中、虎視眈々と脱出の糸口をうかがうメンバーたち。とりあえず腕ひしぎ十字がためでロック!銃は手に入った、でも出口がない!そこへネオナチのボス登場!ここを出してやるから銃をよこせ!そんな交渉成立するか!!罠に決まってんだろ!!
でもさ、ここにいても警察来てたとして疑われるの俺らじゃね?しかも俺ら犯人にされんじゃね?なんてったって楽屋にしたいとともに銃もって籠城してるんだし。
じゃあ、銃を渡しますか。はい扉開けますよ~。ヤバイ扉の前に男がたくさんいる!!ドア締めて!!あ~~~~っ!!!腕が、腕があああああぁぁぁぁっっっっ!!!
果たして彼らは無事楽屋から、ライブハウスから、ネオナチの魔の手から無事生還する
ことはできるのでしょうか?
ここがよかった!
サバイバル脱出劇っていう話だけで余計な人物描写は必要なし。描かれていたのはホントに金のないパンクバンドで、売れるためにSNSに手ぇだすなんざぁロックじゃねえぜ!!ん~っかっこいい!敵のネオナチも過去になんかいろいろあったようですがその辺の説明もなし!ダニエルの車から出てきたバットは結局なんだったのよ?
そんな余計な部分を排除し、徐々に過激になっていくバイオレンスに、もっと頂戴と思ってしまうほどのめり込んでしまいましたね~。
武器も銃以外は、消火器やカッター、蛍光灯とその辺にあるもので戦うしかないという状況で、スキンヘッド軍団や犬と一騎打ち。マシンガンとか高度な武器なんざ出てきません。
でもって敵の攻撃がねちっこい!明らかに勢力はネオナチの方が上だし、武器もそろってる。なのに、今回の事件を彼らに濡れ衣を着せるために余計な手出しをしないんですねぇ。だから犬を放ったり、ナタみたいな刃物を振り回し、ちょこちょこスキンッド軍団をライブハウスへ送り込んで少数精鋭で片づけようとするわけです。後で警察が来て銃弾の嵐だったら疑われるわけですから、銃を渡しても一発で仕留めろ、と。
何ですかこのジワジワなぶるようなやり方。厭らしいですよ。
その攻防戦の中で散っていく戦士たち。パットの腕は切り傷だらけで、特に左手が今にも取れそう・・・!うわぁぁぁぁっ見てもうたっ!レスラーみたいなやつもカッターでおなかを縦にスゥ~っと裂くシーンも、うわああぁぁぁぁっ!!見てもうたっ!犬に喉を噛み切られ、うわああぁぁぁぁっ!!見てもうたっ!殴る音もリアル、飛び散る血もリアル。生々しい傷ややり口が非常に不気味でありました。
そしてこの作品を覆う美しい緑。映像の質感も、髪の色も、夜に映えるライトも、山々を覆う木々たちも、そして戦闘態勢に入るパットのジャケットも緑。前作「ブルーリベンジ」でもそうだったように、色遣いを細部までこだわる監督のこだわりがそこにありました。
これ赤だったらギンギンになって映画館出たのかなぁ。緑だからまだ穏やかに見れたのかなと思うと、怖いのグロイのダメな自分は色に救われた部分が大きいのかな、なんて思ったり。
まとめ
これは見てよかったです。これはこうだったんじゃないか?みたいな考察はできませんが、パンク魂wでネオナチに立ち向かうアントンが最高にかっこよく、ビビりながらも肝の据わったアンバーを演じたイモージェンも可愛かったしかっこよかった。そしてネオナチのリーダー、ダーシーを演じたパトリックも、今まで演じたあの正義感の強いリーダーらしさはどこへ行った?と思うほど、静かな狂気を放つ存在感で楽しませてくれました。
冒頭のエンジンかけっぱなしからの、レコードつけっぱなしの描写から、~しっぱなしの描写いっぱいあるのかなぁ~と思ったら出てこねえでやんの。あれどういう意味?
そんなこと考えるまでもなく楽しめる映画でございました。
というわけで以上!あざっした!!
満足度☆☆☆☆☆☆★★★★6/10