北海道釧路市の繁華街で「伝説のジャズ喫茶」として愛された「ジス・イズ」の元店主、小林東(あずま)さんが1月19日、73年の生涯を閉じた。国内外で活躍するアーティストを招くなどして44年近くジャズの魅力を伝えたマスターとの別れを、多くのファンが惜しんでいる。

 小林さんは地元の新聞社に勤めていた20歳の時、米国のクラリネット奏者ジョージ・ルイスの生演奏を聴き、ジャズに引き込まれた。1969年、「一生に一度、ジャズで飯を食べてみたい」との思いで後に妻となる民子さん(71)と地元新聞社を一緒に辞め、古い空き店舗で店を開いた。

 店には2千枚を超すレコードやCDが置かれ、黒塗りの壁にはジャズメンたちのポスター。20席ほどの小さな店に、サックス奏者の渡辺貞夫さんやピアニストの山下洋輔さん、舞踏家の故・大野一雄さんら様々なジャンルのアーティストが立った。小林さんの情熱と人柄にひかれた人たちだ。

 開店した年は、釧路港の水揚げ…

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