広がる税金のカード払い 還元率1%以上なら得
所得税、相続税、固定資産税……。最近クレジットカードで納めることができる税金が急拡大している。東京都や大阪市など自治体に加え、1月に国税でもカード納税が始まった。ポイント獲得など現金納税にないメリットがある一方、注意点もある。上手にカード納税するコツを探った。
多くの職場が仕事始めを迎えた1月4日、インターネット上で「国税クレジットカードお支払サイト」が静かにオープンした。国に納める税金をクレジットカードで払うための専用サイトだ。申告所得税、相続税、贈与税などほぼすべての税目が対象で、原則1000万円未満なら納税可能だ。
申告手続きを済ませていればこのサイトで原則24時間いつでも納税手続きができる。用意するのは申告書または税務署からの通知書などと支払いに使うクレジットカード。VISA、マスターカード、JCBなどのブランドが付けば、プリペイドカードやデビットカードも使える場合がある。
■分割払い利用も
カード納税は、国税庁指定の納付受託者(トヨタファイナンス)に税金の立て替えを委託する仕組みだ(図A)。一般にカード利用額が自分の銀行口座から引き落とされるのは翌月以降だが、納税期限までにネットで納税手続きを済ませておけば、引き落とし日が期限後になろうと延滞税は発生しない。
利用額に応じてカード会社からポイントが付与されるのは納税でも原則、同じだ。3回、6回などとカードの分割払いを指定できれば、支払い負担を平準化できるという利点もある。カードの利用限度額の範囲内で納税し、残りを税務署や銀行で現金納税するといったことも可能だ。
国税のカード納税は今年2~3月の確定申告シーズンから増えていくとみられる。カード決済に詳しいポイ探(東京・中央)の菊地崇仁代表は「まずは自営業者らが所得税などの納税で利用を増やすのでは」と予想する。
一般の会社員の場合、所得税は給与天引きで済むが、副収入や不動産の賃貸収入などを得ていれば、確定申告をしてカードで納税するケースが考えられる。親からの贈与や相続に伴い税金がかかり、カード納税する例も増えそうだ。
多くの会社員にとって、国税以上にカード納税の利用機会が広いとみられるのが地方税だ。マイホームを買えば不動産取得税や毎年の固定資産税、マイカーがあれば毎年、自動車税や軽自動車税がかかる。
こうした地方税でも、ネットを介してクレジットカードで納税できる自治体が増えている(表B)。もともとは2006年の地方自治法改正で可能になったが、ここ1~2年で居住者の多い自治体が対応を始める例が目立つ。
昨年は4月に京都市、千葉市、福岡市、12月に大阪市でカード納税がスタート。東京都や愛知県は15~16年に対象税目を広げた。トヨタファイナンスのほかエフレジ(京都市)、ヤフーなどが納税システムの構築を担い、カード納税が可能な自治体は約150に達するとみられる。
カード納税で注意したい点は何か。頭に入れたいのが「決済手数料」などと呼ぶ納税者が負担するコストだ(図C)だ。国税では常時、地方税でも多くの場合に必要。現金納税にはない、カード納税特有のコストだ。手数料は国や自治体の収入にはならず、立て替え払いをする事業者がリスクなどを考慮して水準を定めている。
手数料負担と、納税に伴い受け取るカードのポイントのどちらが多いのかを比べておこう。国や自治体ごとに手数料のルールは異なる。納税時に分割払いを選ぶと、決済手数料とは別の手数料がかかる場合がある点も覚えておこう。
■「1%以上」で得
ちなみに国や自治体はカード納税時のポイント付与などは一律の規制は設けないのが普通で、納税時のポイント付与ルールは各カード会社に委ねられる。現時点では買い物利用時と同率とするカードが多いが、納税時は還元率を低くするカードも中にはある。
「通常、納税時にプラスになるのはポイント付与率が1%以上のカード」(菊地氏)という。一般的なクレジットカードの付与率は0.5%程度だが、リクルートカード(1.2%)やプリペイド式のLINE Payカード(2%)のような高還元率のカードもある。両カードは国税納付などに使う場合も原則、還元率は同じだという。
税金のほかにもカードで払える公的な費目は増えている。国民年金ではカード払いの対象を、保険料をまとめて納めることで割引を受けられる「2年前納制度」に拡大。電気、ガス料金に加え、自治体が水道料金でカード納付を受け付ける例も増えている。国税・地方税と合わせるとカード払いの利点は広がる。
ただ、家計管理上は気をつけたい点がある。ファイナンシャルプランナーの豊田真弓さんは「納税などをクレジットカードでする場合、引き落としまでの時間差に注意したい」と話す。納税後もすぐ手元資金が減らないので、支出管理が狂う原因になる。
特に1回の引き落とし額が大きい例が多い納税時などは通常の買い物以上に気を配りたい。豊田氏は「日常的に使う生活口座と別にカード利用額引き落としの専用口座をつくり、必要額は事前に入金するなどの対策をしておくと安心だ」と助言する。(堀大介)
[日本経済新聞朝刊2017年2月8日付]
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