【ワシントン=平野麻理子】トランプ米大統領は10日、イスラム圏7カ国からの入国を禁じた大統領令の差し止め状態が続いていることを受け「来週中に国の安全のため迅速な追加措置をとる」と述べた。トランプ氏は休暇地フロリダに向かう機中で、新たな大統領令の発令を検討していると明らかにした。入国制限の対象を、前回より絞り込んだものになるもようだ。
安倍晋三首相との首脳会談後、記者会見に立ったトランプ氏は「米国はとてつもない脅威にさらされている」などと強調。「国民を傷つける人たちの入国を許すわけにはいかない」と述べ、入国制限の必要性を改めて説明した。新たな大統領令では、前回の大統領令より制限する対象を絞り込む可能性がある。具体的には、永住資格(グリーンカード)の所持者などを対象から明確に外すもようだ。
サンフランシスコの米連邦控訴裁判所(高裁)は9日に、入国制限令を差し止めた地裁判断を支持すると発表した。トランプ氏は10日の会見で「裁判のプロセスを進める」と述べ、徹底抗戦の構えを見せるとともに「この訴訟での勝利を確信している」と強調した。
司法省は連邦最高裁への上訴のほか、高裁の裁判官全員で審理を見直す「全員法廷」を申し立てることも検討しているもようだ。裁判での勝利を目指すと同時に、早期の治安強化へ向けた現実的な対策として、新たな大統領令の発令を検討しているものとみられる。