JR山陰線で身動きがとれなくなった列車周辺で、運行再開のため雪かきをするJR職員ら=鳥取市で2017年2月11日午前11時39分、園部仁史撮影
日本列島は10日夜から11日にかけて、上空の寒気と強い冬型の気圧配置の影響で、西日本の日本海側を中心に大雪となった。鳥取市では一時91センチの積雪を観測。90センチ超は1984年以来で平年の10倍近くに達した。雪の影響による事故で鳥取県と兵庫県で2人が死亡し、鳥取市内ではJR山陰線などの列車や幹線道路で立ち往生が相次いだ。
青谷(あおや)駅では、立ち往生した鳥取発米子行き普通列車に乗客23人がほぼ丸1日閉じ込められた。
普通列車は10日午後8時45分ごろ、雪の重みで木が線路内に倒れたため青谷駅を出発できなくなった。JR西は倒木を撤去し、乗客におにぎりやお茶、毛布などを配布。11日午前9時ごろに運転を再開したが、線路上に積もった約60センチの雪で進めず、列車を再び青谷駅に戻した。
JR西が代替バスを確保したのは同日午前10時25分。バスは倉吉市から青谷駅に向かったが、渋滞に巻き込まれ、同日夜までに到着できなかった。JR西は除雪するラッセル車の後ろについて普通列車を走行させることを決めたが、雪でしなった木に阻まれて難航。午後6時半ごろ、ようやく再出発した。
長時間の立ち往生について、JR西米子支社は「除雪態勢をとっていたが想定外の倒木の撤去作業中にさらに雪が積もってしまった」と説明。バスの確保が遅れたことについては「列車が動けなくなった直後に代替輸送を決めたが、バスが見つからなかった」と釈明したが、当初乗っていた乗客のうち3人は家族の迎えで帰宅できており、手際の悪さが目立った。
鳥取県北栄町の会社員、石村真樹さん(30)は、仕事を終えて自宅に戻る途中だった。閉じ込められて約19時間がたった11日午後4時ごろの取材に「乗客も少しいらだっている雰囲気だ。昨日から全く眠れていないので早く家に戻りたい」とぐったりした様子。同県倉吉市の男性会社員(35)は「何回かJRさんから食料を頂いたが、量が少なくおなかがすいた。午前9時ごろに一度出発した時、運行は難しいのではと思っていたら、案の定止まって引き返した。家族も心配している」と話し、バスの到着を待ちわびていた。
一方、10日午後11時15分ごろには、京都発鳥取行き特急列車「スーパーはくと」が因美線の津ノ井駅(鳥取市)に停車したまま動けなくなった。午後9時ごろに鳥取駅(同市)で起きた信号トラブルが原因とみられ、乗客約130人が運転再開までの約3時間半を車内で過ごした。
はくとは11日午前3時前、鳥取駅に到着。駅員らが乗客に水とビスケットを配った。乗客は疲れた表情で改札を出ると、駅前のタクシー乗り場に長い列を作った。
また、鳥取市から湯梨浜町にかけての国道9号や山陰道では11日夕方に約250台が立ち往生した。【園部仁史、李英浩、高嶋将之、小野まなみ】