家族が末期癌って知らされると「えっ!何で?あんなに健康に気を付けていたのに・・・」って信じられない気持ちになりました。
今から8年前だったかな。最近は思い出す事はなくなりましたが、闘病期間中、亡くなってからは辛かったです。
でもあの時やってよかったな~と思える事があるので、紹介します。
父親が大腸癌末期ステージ4
腸閉塞で手術をしなければいけないので手術をしたのですが、腹膜、リンパ節へ転移しており、手術の予定時間よりも随分早く終わりました。
その時にダメだったんだな・・・と家族で悟りました。
取り合えず、腸閉塞の手術はしましたが、転移が多いので取り切れず後は抗がん剤で・・・という感じでした。
5年生存率
ネットで調べたところ5年生存率10数パーセント。
「そんなの嫌だ!」と思い図書館の参考図書の難しい本が並んでいるところで調べたのですが、どの本も5年生存率がほぼ10数パーセントなんです。ショックでした。
残された時間は短い。
末期癌患者家族として出来ること
子供の頃は抱っこをしてくれたり、遊んでくれたりする時に意識はせず親に触れていたと思います。
大きくなってからはどうでしょうか?物心付いた時からは親に触れた事がないと思いませんか?
私はそうでした。このまま寿命が尽きて冷たくなってしまってから親に触れるのかな?
「それは嫌だな!自分に出来る事は何だろう?」
って考えた時に一番に思い浮かんだのは、エステ、アロマセラピーで学んだマッサージを父親にしてあげることでした。
その時は出張エステとして原付で色々回っていたので、行ける時は実家に戻って父親にマッサージをしていました。
末期癌の父親にマッサージをして感じたこと
- あんなに大きい存在だったのに、体も小さく細く感じた
- 肌質が似ているのか薄くて敏感な肌
- 肩、腰はやっぱり仕事で疲れて張っている
- 私と同じ場所にほくろのようなでき物がある
- 爪の形が私と似ている
- 私と同じように父親も爪をいつも短く切っている
- 髪の毛が薄く少なくなった。白髪が増えた。
- しわが増えた
マッサージをしている時の父親の様子
- マッサージをしてもらった事ないけどすごく気持ちよさそうだった。
- 「今日もしてくれるの?」って嬉しそうだった。
- 「体が楽になった!」って言ってくれた。
末期癌マッサージをしていいの?
リンパ節に転移していたので、マッサージをする事によって癌の転移が広がる事が予測されたので、父親の検診の時に病院に行って聞きました。
「手術をした箇所を強くマッサージをするのはおすすめできませんが、しても大丈夫ですよ」との事でした。
ネットで調べると癌の転移が早くなるからマッサージはしない方がいい。と書いてあるのもありましたが、私の場合は、父親ですし、父親も了承済でマッサージをしました。
末期癌でマッサージをするメリット
- 抗がん剤による副作用(だるさ、吐き気、むかつき)を軽減できる。
- 抗がん剤の副作用で足の指、手の指の感覚がなかったのが、少し感覚が戻る。
- 抗がん剤の副作用で足のむくみがひどかったのが少し楽になる。
- 肌に触れる事によって安心感リラックスできる。
父親の場合は抗がん剤の副作用で足の指、手の指が痺れて感覚がないと言っていたのですが、マッサージをする事によって軽減されていました。
家族がマッサージをしてあげる事による安心感、精神的リラックスによるメリットがかなり大きいのではないかな。
末期癌アロマテラピーの力を使う
当時新薬だったアバスチンが大腸癌に有効だと言われていましたが、まだ治験の段階でした。かなり高価で1回40万~50万だったかな?
すっごく高い値段だったのを覚えています。治験という事でお金が掛からなかったか安かったか記憶が定かではありませんが、抗がん剤のアバスチンを数回使ったのを覚えています。
アバスチンを打ってから検査をすると、癌が小さくなっていました。このまま癌が消える事を願っていました。
しかし、3回目くらいで効き目が無くなったのか癌が大きくなってショックを受けました。
癌が消えると思ってたのに・・・期待していたのに・・・
その後、他の抗がん剤も試しました。
抗がん剤の副作用を少しでも軽減したいと思いアロマセラピーインストラクターの資格を取得していたので、アロマテラピーの力で何か出来ないか考えました。
ラベンダー、オレンジ、フランキンセンスなど癒し、リラクゼーション効果の高いもの
父親が好きな香りを、ホホバ油、グレープシードオイルに混ぜて使っていました。
この時私が感じたのは、精油の効果よりも、その家族を大切に思う気持ちを持った人がマッサージをする事の効果が大きいのではないかなと感じました。
少しでも長生きしてほしい!少しでも副作用が軽減して欲しい!そんな気持ちで肌に触れる事によって、いい波動が伝えられるというかまだ生きているから、細胞の生まれ変わりがあるから、元気な細胞を作ってくれる気がしていました。
最後の時を迎える
大腸癌ステージ4で末期と言われてて確か余命3ヵ月~半年で宣告されていました。
約1年半の闘病生活で幕を閉じました。
宣告よりは長く生きられました。
その間に家族がした事は、今までと変わらない日常生活と一緒に食事を楽しんだり、出かけたりするちょっとした幸せです。
父親、母親は念願だった北海道にも行っていましたが、癌末期の痛みで楽しめなかったようです。
私から見ると、父親は当たり前の日常生活を楽しんでいるように見えました。癌とわかってからしばらくはやっぱり落ち込んでいましたが、ある時決心したのでしょうね。
有休を使いながらも出来る限りは仕事をしていました。
残された寿命を好きに生きる為に仕事を辞めるという選択肢も出来たと思います。
しかしそれを選びませんでした。
寿命を好きに生きる為に仕事を辞めてしまうと、今までの日常、本当はこの先も続くであった日常を否定してしまう事になり、はっきりと命が尽きるのを意識してしまうのではないかな?そんな事を感じとりました。
自分の寿命を受け入れた時から同じ毎日でも違った目線で感じる事が出来るのではないかな?と父親を見て思いました。
辛い仕事の何気ない日常の中にも笑顔が多くなりました。
「ありがとう」って言うことが多くなりました。
「いいよ」って優しくなりました。
周りを気遣ってか笑顔でいる事が多くなりました。
家族が末期癌になると本人もつらいと思いますが、家族も何年も辛い思いをします。
結婚して家を出て家庭、仕事もあったので私に出来ることはわずかではありましたが、自分の一番得意としていたエステティックのマッサージをしてあげて喜んでもらえたことが本当に嬉しかったです。
父親が末期癌とわかったからこそ、マッサージをしてあげましたが、もし健康で長生きしていたら当たり前のように思ってマッサージをして父親に触れる事もなかっただろうな。
父親が末期癌とわかってからの1年半、命が尽きてからしばらくは本当に辛かったですが、その間が一番家族としての繋がり団結を深めたと感じた期間でもありました。
そして家族っていいなと思いました。
家族が末期癌で命が尽きる時に後悔しない為にはどうしたらいいの・・・
そして、自分の命が尽きる時に後悔しない為には・・・どういう生き方、価値観を変えるきっかけにもなりました。
今、家族が末期がんで辛い思いをしている人の役に少しでもなればいいなと思い、私の気持ちを書きました。