東進ハイスクール、河合塾マナビス、さらにはスマホで授業が視聴できるスタディサプリ、TryITなどなど・・・映像授業とか、衛星授業と言われるような「自分で動画を見て勉強する」スタイルが最近支持されてきています。
例えば部活や委員会を頑張っている現役の受験生などにとっては、決められた時間に授業がある予備校よりも、都合の良い時間に塾に行って映像授業を視聴するスタイルが生活にマッチし、喜ばれています。
来年度の塾探しを始める人も増えてくる時期です。
「塾の選び方」でも触れていますが、今回はそんな映像授業予備校の是非について下記の順番で考えてみたいと思います。
映像授業の性質と問題点
↓
映像授業で成績が伸びるのはどんな子か
↓
どんな映像授業のスタイルなら良いのか
映像授業の性質と問題点
映像授業には今では「通塾型」と「在宅型」が存在します。
例えば東進ハイスクールや河合塾マナビスは、校舎まで生徒が出向き、その教室の中のブースに着席して自分が選択している講座の動画を見ます。
一方スタディサプリやTry ITはスマホでも見られるというように、自分の好きな場所で視聴可能です。
【問題点1】 生徒の集中が続かない
いずれにも共通しているのは「一方的に垂れ流されている動画を見るだけ」である点です。
講師に指されて発言をするでもなく、ただただ動画を見ます。
そこに緊張感はほぼ生まれず、なんなら居眠りしても誰も起こしてくれないわけです。
はっと目覚めて巻き戻して再生、また居眠りして再び巻き戻し・・・そんな光景が目に浮かぶのは私だけでしょうか。
もちろん生徒次第、やる子はきちんとやるとは思います。
【問題点2】 全ては生徒の理解力次第となり、放置される
一方的な動画の視聴ですから、生徒がそれをどれほど理解できるのかは生徒の能力次第です。
確かに有名講師の授業は分かりやすいものが多いですが、かと言って1度動画を見て全部理解できるような能力のある生徒であれば、そもそも塾が必要ないような気もします。
そもそも塾に行かねばならない成績・能力の生徒が、自分で動画を見てどんどん成績を伸ばす・・・というのは全くイメージが湧きません。映像授業で成績が伸びる前提として、少なくても元々の偏差値が55以上は必要でしょう。
また、テストもほとんどありません。
動画を見たかどうかのチェックテストのようなものはあっても、例えば学力定着を測定するようなテストが頻繁にあるかと言えば答えはノーです。
学力定着の確認をしていない=生徒の合格に責任を持っていないと言っても過言ではありません。
この点から考えても私には生徒が放置されているのも同然と思われてなりません。
【問題点3】 不明点の解消ができない
動画を見て分からないことがあったら質問すればいいのでは?と思われる方もいるでしょう。
しかし実際はそんなに簡単ではありません。なぜかと言えば
①自分が分っていないことが分かっていない。
②不明点が分かっていても質問に行かない
③質問しようと思っても、質問できる相手が目の前にいないorいても質がイマイチ
という、大体3パターンの状況に陥る受験生が非常に多くいるからです。
勉強が本当に苦手な子は①状態になります。当然学力は伸びません。
自分の状態がある程度分かっている生徒でも②の壁が存在します。引っ込み思案だったり面倒くさがりだったりすると疑問点があっても自分の中でうやむやにし、頻繁に質問に行くようなことができません。
それでも講師・チューター側から生徒に気を配る環境があれば良いのですが、講師はビデオでチューターはバイトです。放置されて終わります。
また、危機感を持ち、どんどん質問に行くような活発な子でも③でやられます。
これは塾や校舎ごとに環境も違うようですが、まず質問相手のチューターはだいたいバイトの大学生です。曖昧な回答をされることが多々、場合によってはその科目は分からないと突き返されます。
例えば某塾などはプロが回答する代わりに、本部に質問カードをFAXして返答を待つというシステムがあるようですが、疑問はその場で即座に解消して次に進まなくてはテンポよく勉強に臨めません。
【問題点4】 授業料が高い
講師不在でビデオを流しているだけですから、生身の講師が授業をする河合塾や代ゼミと比べれば当然授業料は安いです。
例えば東進ハイスクールは一般的な講座で1つ75600円だそうです。
しかしこれは本当に安いと言えるのでしょうか・・・?
私の考えからすると「バカ高い」です。
例えばスマホで授業が受けられるスタディサプリは月額980円です。
だってスマホでしょ?と思うかもしれませんが、動画授業を視聴して自分で勉強をするという要素に関して、映像授業予備校と差はありません。講師の質の差は多少あるでしょうが、スマホ授業でも間違ったことを言う講師はいないわけで、言ってしまえば気分の問題です。圧倒的な金額の低さから陳腐なイメージを持ってしまう人が多いようですが、中身をしっかり比較しなければなりません。
システムの観点から要素比較をすれば大差なし。東進や河合塾マナビスで伸びる子であれば、スタディサプリでも同じように伸びます。
塾という場に行く(=勉強スイッチを入れる)というような要素は通学制映像予備校が勝る点でしょう。
しかしそこに7万円強の価値があるのか私には疑問です。自習スペースをレンタルしたり、工夫はいくらでもできるでしょう。
映像授業で成績が伸びるのはどんな子か
・集中力がある子
・放置されても自分で工夫してやっていく勉強習慣がある子
・理解・吸収力が高い子=元々偏差値の高い子
但し、そもそも上記に該当する子は月額980円のスマホ授業でも成績を伸ばせる
まとめるとこんな感じになるでしょうか。
どんな映像授業のスタイルなら良いのか
どうしても映像授業塾に通いたいとすれば、どんなポイントをチェックすればよいのか。
なかなか難しいとは思われますが、下記ポイントを1つでも多く備えているところがよいでしょう。
・緊張感がある(一方的に流れているだけではない等)
・学力定着確認がある(動画を見っ放しではなく成績向上確認テストがある等)
・信頼できる質問・相談担当がいる(バイトのチューターではなく)
・納得できる授業料
ちなみに私の在籍するDIET STUDYでも主に地方在住の受験生のための映像授業コースを設置していますが
・校舎でやっている対話式授業の「生放送」を視聴
・校舎に通っている生徒と「全く同じテストを同じ回数実施」
・skypeを通して週1回、プロの担当講師と面談
・校舎に通っている生徒と同様に合格保証制度の対象となる
という内容にしています。
「他と差別化しているね」と言われることがありますが、差別化を目的としているわけではなく「どうしたら映像授業でも生徒の成績を上げられるか」という観点に立ってサービスを創っているだけです。
あまりないかと思いますが映像授業塾を探すのであれば「成績を上げるために必要な要素」を含んだ映像授業塾を探してみてください。