文章を書くのが好きで、小学生の頃から今に至るまで非現実的な世界観の短編小説を書いて遊んだりエッセイを書いては懸賞に応募したりしている。
いくつか賞ももらったし、研究室の先生が雑誌(学術誌じゃなくて業界専門誌みたいな月刊の雑誌)に寄稿するときはわたしが校正してあげたりしているし、
文章を組み立てることが人より多少は得意だと思っている。
けど、学術論文はわたしがいままで培ってきた叙述法とはかなり違う文法の元に成り立っていた。
今、わたしは理系の大学4年生なので卒論執筆に忙しい。卒論の内容は、マイナーチェンジを加えて学会報に投稿するつもりだから、先生もしっかり目を通してチェックしてくれる。
初稿をチェックしてもらって、返ってきた原稿はアドバイスや注意点の青ペンで真っ青になっていた。
たくさん論文も読んだし、要旨のチェックのときにも確認したし、かなり論文の文法は覚えてきたつもりだったんだけどなあ。
並列のときは(たとえば「赤と青と緑にそれぞれ色付けられた~」とか)英語に倣って「赤、青、および緑に色付けされた~」みたいな書き方を一律でしなきゃいけない。これはだいぶ慣れたけど、いつもそのときそのときで一番読みやすそうな、より語感のいい書き方を心がけてきたわたしにとっては抵抗感が大きいものだった。「赤、青、緑に~」はもちろんだめだし「赤と青、そして緑~」もグレーゾーン。
「だった」「~で、」も「であった」「~であり、」とかに統一。一文の長さはできるだけ短く。
筆者を示す主語はほとんど登場させず、「我々はデータを~~に従って分析した」みたいなことを言うときには「データは~~に従って分析された」とかいう書き方になる。
英語的な表現が多くて、読みやすさの点で言うとあんまり読みやすくない。でも、できるだけ筆者の言いたいことをできるだけそのまま読み手に解釈してもらうという意味ではこういう統一された文法が便利なのかもしれない。
あまり読んでて気分がよくなる文章にはならないけれど、しかし、この文法を完全に身につけて必要なときに使えるようになったら、それはそれですごく大きな力になるだろうな、とも思った。