韓国は内外で巨大な挑戦に直面しているが、不幸にもこれに応戦する準備が全く整っていない。だとすれば、苦労して育て上げた韓国文明は必然的に衰退と消滅を目の当たりにするほかない。これがトインビーの主張した文明史の鉄則だった。数年前に翰林大学のキム・インギュ教授の書物に引用されたアイルランドの文豪、ウィリアム・バトラー・イエーツの詩『再臨』で世界の終末を予言した部分を読み、心臓が止まる思いをした。「最高の人物たちは信念を失い/最悪の人間たちは狂気に満たされる」。後日歴史家たちは、現在の時代を「混乱の時期」と表現し、逆説的にも現在の大多数の歴史家を狂気に満ちた者と描くだろう。社会を導く賢者たちは罵倒され信念を失い、徐々に消えていく。代わりに左翼であれ右翼であれ、崔順実 (チェ・スンシル)の親戚であれ、「最悪の人間」が狂っては幅を利かせている。大衆は賢者を「模倣」せず、無責任な扇動家たちを盲目的に支持する。イエーツの黙示録的な詩の光景と非常に類似しているではないか。
目を見開いて朝鮮半島の北側を眺めると、より暗い光景が広がっている。北朝鮮は人類歴史上最悪の体制の一つと記録されるに違いない。朝鮮王朝体制、日本の天皇制、そして共産全体主義体制の奇妙な混合物に、極端で閉鎖的なウルトラ民族主義が加味された世界文明史の「迷子の子」として評価されるだろう。そこには、狂気が茶飯事となった世界がある。そして、その体制に憧れて擁護する人々にあふれる韓国の多くの集団の狂気が結合した、二重の障害物を越えなければならない挑戦の前に、われわれはあまりにも無力だ。この混沌の終結はいつ訪れるのか。文明史の多くがそうだったように、外的な衝撃に突破口を求めるかもしれない。しかしそれは希望が込められた期待にすぎない。われわれはしばらくの間、光を放った韓国文明の全盛時代を懐かしがる立場に転落するかもしれない。文明の成長をもたらした根本的な原因を知らず、理解できない集団には、当たり前の帰結かもしれないのだ。