香里奈

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 心理学者のアルフレッド・アドラーの教えを解説したベストセラー『嫌われる勇気』(岸見一郎・古賀史健の共著/ダイヤモンド社)を原案とした同名ドラマを放送中のフジテレビに対し、「日本アドラー心理学会」が抗議文を送ったと公式サイトで発表した。

 同学会は、アドラー心理学の研究と啓発を目的に1984年に設立され、会員は全国に約1,000名。抗議文によれば、同ドラマはアドラー心理学の一般的な理解とは「かなり異なっている」といい、「テレビのような公共的な場で、あたかもそれがアドラー心理学そのものであるかのように普及宣伝されるのは、日本のアドラー心理学の啓発・普及に対して大きな妨げになる」としている。

 具体的には、“ナチュラルボーンアドラー”という設定のドラマの主人公が、「私はただ、感じたことを口にしているだけ」などと言っていることを問題視しており、アドラーの教えである「『他者の幸福のため』に自分がすべきことをする」という部分が「欠落している」と主張。同局に、放映中止か、脚本の大幅な見直しを求めている。

 なお、当サイトは同学会に取材を申し込んだが、「理事会の総意」でノーコメントとのこと。

 1月にスタートした連続ドラマ『嫌われる勇気』は、原案の『嫌われる勇気』に大胆なアレンジを加え、刑事ドラマ化した完全オリジナルストーリー。主演の香里奈が演じるのは、生まれながらにして他人からの評価を気にしない“アドラー女子”庵堂蘭子。決め台詞は「明確に否定します」だ。

 フジテレビ側は、「『世界一嫌われている女刑事』庵堂蘭子の生き方を通して、『自由、そして幸せになるための勇気』の必要性を問う、アカデミックでシニカル、そして見るだけでアドラー心理学を学ぶことができる大人の刑事ドラマ」(公式サイトより)と銘打っているが、初回からネット上では「強引にアドラーねじ込みすぎ」「本持ってるから期待して見たけど、“?”って感じだった」「『嫌われる勇気』はすごくいい本なのに、なぜ刑事ドラマにした? もっと穏やかで、心に語りかけてくるような内容なのに……」などと酷評が相次いでいる。

 さらに、9日放送の第5話では、自己最低となる平均視聴率6.1%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録。これまでの期間平均は6.9%。いわゆる“大コケ”だ。

「視聴率も低迷しているうえ、テーマの核であるアドラー心理学の描写まで否定されてしまうと、もはや企画倒れとしか言いようがない。また、このベストセラーをそのままタイトルに持ってこなければ、ここまで反発は大きくならなかった可能性も。フジが今回の抗議を重く捉えるのか、はたまた無視するのかはわかりませんが、数字が振るわない以上、内容の見直しは避けられなさそう」(テレビ誌記者)

 香里奈の久しぶりの主演作ながら、企画倒れ感が漂っている『嫌われる勇気』。「日本アドラー心理学会」は放送中止などを求めているが、果たしてフジテレビの対応は……?