民進党は10日の全議員懇談会で、天皇陛下の退位について、皇室典範を改正し恒久制度化を求める方針を確認した。政府は一代限りの特別立法を検討しており、自民、公明両党も政府と足並みをそろえている。ただ、民進党皇位検討委員会の馬淵澄夫事務局長は同日、「政争の具にせず、国会が英知を結集して意見集約に努めるべきだ」と今後の与党との協議に柔軟な姿勢を示した。衆参両院の正副議長は20日に各党から意見聴取する。
民進党は昨年末、(1)皇嗣(皇位継承者)が成年に達している(2)天皇本人の意思に基づく(3)皇室会議の議による--ことを要件として退位を認める恒久制度化案をまとめた。これを受けて懇談会では「憲法に従い、皇室典範改正によって退位を可能にすべきだ」という意見が多数を占めた。一部には「一代限りの退位を容認すべきだ」という声もあった。「女性宮家」創設に関しては、党執行部が「今国会の限られた日程の中では退位を優先すべきだ」と述べ、今後の検討課題にすることに理解を求めた。
共産、社民両党も10日、恒久制度化を主張する方針をそれぞれ決めた。共産党の小池晃書記局長は「一代限りにとどまらないルールを作る必要がある」と記者団に語った。
一方、自民党の高村正彦副総裁は10日の党役員連絡会で、党の見解について「13日にとりまとめたい」と報告した。衆参両院の正副議長は13日に今後の進め方を協議する。
3月中下旬の国会の意見集約に向けて、与野党がどこまで歩み寄れるかが焦点。与党内では、特別立法の根拠規定を皇室典範に盛り込み、将来の天皇の退位に余地を残す案が出ている。【樋口淳也、飼手勇介】