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「相馬勝の国際情勢インテリジェンス」

中国初の国産空母、日本周辺海域に配備…自衛隊・米軍と戦闘も、軍事的緊張高まる

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米国のトランプ新政権に対抗


 空母「山東」の外観は現在の中国唯一の空母「遼寧」(排水量約6万7000トン)にまったくといってよいほどそっくり。「通常動力の排水量5万トンクラスで、遼寧で得られたノウハウを継承している」(共同電)とみられる。「遼寧」はウクライナから購入した空母「ヴァリヤーグ」を改修して、12年に就役。現在は山東省青島港を総司令部とする北海艦隊に配属され、母港も青島港だ。

 中国国防省の発表などによると、「山東」は「遼寧」と同じく高圧蒸気などで艦載機を発進させる装置「カタパルト」は搭載しておらず、船首部分に傾斜のついたスキージャンプ式の甲板で艦載機の離艦を行うとみられる。

「山東」の母港について、前出LINE公式アカウントは「南シナ海沿岸の基地」としており、具体的な基地名を明らかにしていないが、南海艦隊は母港が湛江で、そのほか広州と、海南省(島)の海口および三亜に海軍基地を有しており、このうちの一つが母港となるのは確か。「遼寧」が北海艦隊の総司令部の大連を母港としていることから、「山東」も湛江となる可能性が高いとみられる。

 湛江ならば、南シナ海全域と台湾、あるいは沖縄県尖閣諸島が防衛海域からも近いことから、南シナ海防衛や「尖閣諸島を専守防衛地域に含む」と明言している米国のトランプ新政権に対抗する狙いがあるのは明らか。

 それだけに、19年の「山東」就役後、「遼寧」との空母2隻体制による空母艦隊と、沖縄駐留米軍や日本の海上自衛隊が激しい戦闘を展開する可能性もあながち非現実的といえなくなりそうだ。
(文=相馬勝/ジャーナリスト)