忠清北道報恩郡と全羅北道井邑市に続き、京畿道漣川郡でも口蹄疫(こうていえき)ウイルスへの感染が確認された。3件目となる漣川郡で検出された口蹄疫ウイルスは、先の2カ所で検出されたO型とは異なるA型だった。また9日に最初に感染が確認された報恩郡でも再び感染疑いの届けが入っている。このままでは感染が全国に拡大しそうな勢いだ。
先日の鳥インフルエンザでは国は明らかに初期対応に失敗したが、今回の口蹄疫に関しては国は迅速に対応しているようだ。しかし韓国国内にある口蹄疫ワクチンがA型に効果があるのか農林水産食品部(省に相当)は把握できていないという。互いに異なる種類の口蹄疫が同時に発生したことは前例がないようだが、A型は関してはこれまで韓国国内で感染の前例がなかったわけではない。ところが国内にあるO+A型ワクチンの接種については、実際に効果があるかについて調査結果を待たねば分からないという。また国内ではワクチンの絶対量も足りないことから、国は英国に緊急の支援を打診している。口蹄疫への対応は最初の1週間が鍵になるが、ワクチンが輸入されるだけでも1週間はかかり、しかもワクチン接種の効果が出るまでさらに1週間かかる。今後この2週間で感染がさらに拡大することも大きな懸念材料だ。
口蹄疫ワクチンの接種は韓国国内で義務化されているが、一部農家は生乳や食肉生産の減少を恐れ、必要な時に接種を怠っているのが現状だという。また農林水産食品部の対策もそれに劣らずずさんなものだった。標本調査によって抗体の形成率を把握したというが、そもそもその調査自体に非常に問題があった。農林水産食品部は全国の肉牛と乳牛で97.5%、豚で75.7%の抗体形成率が維持されていると説明しているが、今回感染が確認された報恩郡の抗体形成率は19%、井邑市に至ってはわずか5%だったという。
牛や豚、鶏は国民にとって最も重要なタンパク源だ。ところが先日の鳥インフルエンザや今回の口蹄疫により、これら重要なタンパク源全てに問題が生じた。深刻な事態だ。ちなみに家畜が病気にかかり殺処分されれば、農家は国民の税金によって補償金を受け取るため、金銭的被害はほぼなく、そのため感染を防ごうとする意識がどうしても希薄になってしまう。今後は農家にも定められたルールを守るよう促し、同時に家畜に感染症が発生することへの強い危機感も持たせなければならない。ただしそれにはまず国が気を引き締めて対策に当たることだ。