朴槿恵(パク・クンヘ)大統領の弾劾を求めるキャンドル集会と、弾劾に反対するいわゆる太極旗集会がいずれも11日に開催が予定されていることから、その現場となるソウル市内中心部では緊張が高まっている。キャンドル集会の主催者は弾劾が自分たちの思い通りの結果にならない恐れがあるとの理由で、大々的な動員に動いているようだが、審理の先行きに関する話は根拠のない単なるうわさだ。その一方でこれに対抗する太極旗集会も、今回はこれまでで最大規模の集会にするとすでに宣言している。憲法裁判所は憲法と関連する法律のみに基づいて判断を下すはずだが、双方とも群集心理を利用し、憲法裁判所の決定を自分たちの思い通りにしようとしているわけだ。このままでは憲法裁判所がどのような判断を下した場合でも、それに反対する側が大きく反発することは火を見るよりも明らかで、これは絶対にあってはならない最悪の事態だ。
これに加えてもう一点深刻なことは、特に野党側の候補者たちがこの対立を自らあおっていることだ。中でも現状で支持率1位の文在寅(ムン・ジェイン)共に民主党前代表は地方でのスケジュールをキャンセルしてキャンドル集会への参加を決めた。文氏が昨年「弾劾が棄却されれば革命を起こすしかない」と発言したことも記憶に新しい。弾劾が棄却されればそれに承服しないのはもちろん、結果を力でひっくり返すということだろうか。忠清南道の安熙正(アン・ヒジョン)知事、城南市の李在明(イ・ジェミョン)市長も文氏と同じくキャンドル集会参加の意向をすでに表明している。
与党セヌリ党も同様で、大統領選への出馬を宣言した李仁済(イ・インジェ)元最高委員と金文洙(キム・ムンス)元京畿道知事らが太極旗集会への参加をすでに明言しているが、この二人とは別にその後も参加の意向を示す議員が増えている。ちなみに親朴の尹相現(ユン・サンヒョン)議員は9日に国会で太極旗集会支持の討論会を開催したが、その出席者たちは憲法裁判所、特別検事、メディアなどに向け激しい暴言を吐いていた。またその席には弾劾審理で大統領側の代理人を務める弁護団の一人も出席していた。このようにキャンドル側と太極旗側の対立が今後も激しくなれば、弾劾が成立して早期に大統領選挙が行われた場合、これが定められた手続きに沿って正常に実行されるか予断を許さない。また弾劾が棄却されたとしても、朴槿恵大統領による政権運営が可能となるかさえ全く分からない。