聴覚障害者同士のマルチ詐欺摘発、被害27億円 /昌原

 聴覚障害者がマルチ商法による詐欺組織を結成し、他の聴覚障害者から約280億ウォン(約27億6000万円)をだまし取ったとして、慶尚南道昌原中部署は主犯格のK容疑者(44)ら3人、中間責任者5人の計8人を逮捕。聴覚障害者28人を会員として募集した組織メンバー28人を在宅のまま取り調べている。主犯格には詐欺罪のほか、加重処罰が可能な犯罪団体組織罪が適用される見通しだ。

 調べによると、K容疑者らは2010年から16年にかけ、投資詐欺グループ「幸福チーム」を結成し、「マンションや工場などに投資すれば、高収益だけでなく、障害者福祉施設の利用などさまざまな特典が保障される」とうたい、全国の聴覚障害者約500人をだまし、現金をだまし取った疑いが持たれている。

 容疑者らは会員に他の聴覚障害者の加入勧誘をさせるマルチ商法の手口を使った。容疑者らは「健常者が99%を投資し、障害者による投資は1%だけでも特典は同じだ」「3カ月以内に投資額が3-5倍になる」「住宅、高級外車、年金が手に入る」などと被害者をだました。会員から「忠誠誓約書」を受け取っていたほか、「組織を裏切れば探し出して殺し、3代にわたり乞食にさせる」といった行動綱領も作成していた。

 詐欺組織のメンバーはいずれも聴覚障害者だった。銭湯であかすりの仕事をしていたK容疑者は「90代の資産家」を装い、他の障害者の信頼を得ていたという。K容疑者は7億ウォン以上の高級田園住宅に住み、高級外車20台以上を買い替えながら保有していたほか、数百万ウォン相当のブランド物の衣服を着るなどぜいたくな生活を送っていた。

 しかし、一部の聴覚障害者はK容疑者が逮捕されて以降も「警察の捜査は虚偽であり、じきに『90代の資産家』が現れ、投資額の数倍を還元してくれる」と信じている洗脳状態だという。被害者の大半は生活が苦しく、金融知識も乏しい人たちで、容疑者らにだまされ、ノンバンクから自宅、自動車、携帯電話などを担保に融資を受けたり、クレジットカードローンで借り入れを行ったりして、投資資金を準備していた。最高で約6億ウォンを失った人もいた。

昌原= 権慶勲(クォン・ギョンフン)記者
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