ジミー・ミリキタニを知っていますか?
家族も家も持たず、ニューヨークの路上で創作を続けた反骨の日系人画家。その数奇な半生を追った映画「ミリキタニの猫」が公開10周年を記念してリバイバル上映されています。ジミーさんの絵画と写真を集めた展覧会も2月18日まで東京・新宿で開催中。トランプ米大統領の反移民政策が議論を呼ぶなか、ジミーさんが遺した平和のメッセージが新たな注目を集めています。
ジミーさんは1920年カリフォルニア州生まれ。幼少時に一家で帰国し、故郷の広島県で育ちました。幼い頃から日本画を学び、高校を出ると「日本の芸術を世界に紹介する」という大志を抱いて再び米国に渡りました。しかし、日米開戦によって日系人強制収容所に送られ、戦後も市民権を失ったまま職を転々とし、ニューヨークに流れつきました。
街角で猫の絵を売るジミーさんと映画を監督したリンダ・ハッテンドーフさんが出会ったのは2001年1月。野武士のような老画家に興味を抱き、ビデオカメラを手に彼の元へ通うようになりました。9月11日の同時多発テロ以降はジミーさんを自宅に引き取り、共同生活しながら撮影を継続。思いつくままにジミーさんが語る過去から、米国人も知らないアメリカの歴史が浮かび上がっていきました。
ジミーさんは2012年に92歳で死去。今回のリバイバル上映では、生前のジミーさんを知る人々に取材した新作「ミリキタニの記憶」も併映し、人物像をさらに掘り下げます。展覧会ではジミーさんが描いた絵画45点のほか、路上での日常をとらえた貴重な写真約70点を紹介します。
■「ミリキタニの猫《特別篇》」 2月17日(金)まで、東京・ポレポレ東中野で連日19時から1回上映。続いて京都・立誠シネマ福岡・KBCシネマでも公開予定。
■ジミーミリキタニ絵画展&写真展 2月18日 (土)まで、全労済ホール/スペース・ゼロ(渋谷区代々木2-12-10)。正午~19時30分(最終日は19時終了)。入場無料。
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