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 心臓が正常に拍動できなくなる不整脈のうち、発生すると救命が難しい症状の一つ。心室細動などがある。短時間で意識がなくなり、死に至る。日本AED財団のホームページによると、国内では心臓が原因の突然死が年間7万人を超える。そのうち最も重大な直接原因と考えられている。

 心室細動は、心臓の血液を全身に送り出す心室の筋肉が震え(細動)、血液が送り出せなくなり、失神して呼吸停止になる。対処法として、電気ショックを与えるAED(自動体外式除細動器)などがある。

 広島大学の東幸仁教授(循環器内科、再生医学)によると、致死性不整脈が起こると、2秒程度で意識が失われることがあり、数分間で心臓が止まってしまうこともあるという。

 遺伝的にこうした不整脈を起こしやすいタイプもあるが、原因がわからないことの方が多く、若い現役のスポーツ選手が亡くなるケースもある。運動中に起こることもあれば、睡眠中に起こることもあるという。ウイルスが心臓に感染したことをきっかけに不整脈を起こすこともある。

 新潟大学の榛沢和彦医師(心臓血管外科)は「若い人でも突然、心室細動になることがあり、今のところ予知や予防することは難しい。ただ、心室細動はAEDなどですぐに心臓を正常なリズムに戻せれば、救命できる場合が多い。家庭などAEDが近くにない場所で起きた場合は、心臓マッサージと人工呼吸で救急車を待ってほしい」と話す。