このように各党は憲法裁判所の「弾劾容認説」「弾劾棄却説」にそれぞれ言及し、支持者らをあおって危機感を持たせようとしている。このような中で現在、国内で最も心配されていることは、弾劾審判の決定が下された後だ。弾劾が成立してもしなくても、このままでは一方から深刻な反発が起こることは避けられない。各党が憲法裁判所をこのように堂々と脅迫し、圧力を加えれば、それに対する反発も当然大きくなるからだ。また決定が自分たちの意向通りにならなかった側は「憲法裁判所は脅迫に屈して公正な判断を下せなかった」と主張するかもしれない。感情が高ぶった群衆が何らかの大義名分まで手にすれば、もはや手が付けられなくなるのではないか。これについて各党は今からもっと深刻に考えなければならない。またどの党も今後たとえ政権を握ったとしても、このままでは一歩も動けない状況になってしまうだろう。目先のことばかりでなく、誰もが今後のことも考えておかねばならないのだ。
弾劾問題は言うまでもなく重要な案件だ。しかし結果に関係なく、この国の5000万人の国民は生きていかねばならず、景気不振や安全保障上の危機も克服しなければならない。政権欲、権力欲で後先が見えなくなった政治家もいるが、それらのことは国民の生活以上に重要な問題ではない。ところが最近は左右のイデオロギー対立に世代間の緊張も加わり、この国はまさに爆発寸前の状態だ。政党もこの状況の沈静化を目指すどころか、逆に扇動することばかり考えているではないか。
憲法裁判所の決定に承服することは、韓国社会を今よりも一段階引き上げることにつながるが、逆にこれができなければ、この国は政治的に内戦状態にはまり込んでしまうだろう。一昨日、正しい政党の朱豪英(チュ・ホヨン)院内代表は国会での演説で「全ての政党は憲法裁判所の決定に承服することを約束しましょう」と呼び掛けた。これは大統領選挙への出馬を目指す候補者たちも同じで、全員が憲法裁判所の決定に承服することを宣言すべきだ。これに応じない候補者は法治と民主主義に反対する人物として、国民の審判を受けなければならない。