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【2018平昌五輪・動画付き】
「陸の孤島」が一変 ふくらむ負の遺産懸念、尾を引く日中との対立
外国人観光客の主力は中国人旅行者だが、中国側が米軍の高高度防衛ミサイル(THAAD)の韓国配備への反発から制限を加えているともいわれ、影響が懸念される。竹島(島根県隠岐の島町)をめぐっても五輪の公式サイトが「Dokdo(独島)」と記し、「韓国の最東端の領土を守る誇り」と紹介。在釜山日本総領事館前の慰安婦像の新設でこじれた日韓関係にさらに冷や水を浴びせている。
不安の声が上がるのが、巨費を投じた競技施設の再利用の問題だ。地元で電器店を営む姜文永さん(59)は「五輪の成功を願ってはいるが、終わった後、きちんと施設を管理していけるかが心配」と話す。
特に隣の江陵市に新設されたスピードスケート場はトラックの維持費だけで年間30億ウォン(約3億円)かかるとみられるが、五輪後の運営主体も決まっていない。崔順実被告の事件で起訴された前文化体育観光第2次官の金鍾被告が管轄していたとされ、事件の余波を受けたとも指摘される。
主な会場間を約30分内で移動できるという「コンパクト性」を重視し、首都圏に分散させなかったために“負の遺産”として地方自治体の財政を圧迫しかねない。韓国紙は社説でこう警告する。「五輪そのものが国にとって大災難となってしまうかもしれない」(平昌 桜井紀雄)