軽自動車の内装を改造して販売されている、軽キャンパーは価格の安さや維持費の低さからリアイア後の夫婦の移動旅館として人気の高いキャンピングカーです。
価格も車両+組み付け工賃込みで150万~300万円以内と、フルサイズのバンコン(ハイエース型)キャンピングカーの3分の1以下で購入できるのが最大の魅力です。
ですが価格の安さにつられて購入したら思わぬ落とし穴もあることから、購入にはいくつか注意点が必要になります。
買えば長く乗れる軽キャンピングカーを徹底的に乗り潰すためには、どうしたらいいのか?
リタイア後の老夫婦以外にどんな人にオススメなのか?キャンピングカービルダーの意見も交えて解説していきたいと思います。
軽キャンパーの使い勝手はどう?
目次
軽キャンの就寝は基本大人2人
軽キャンパーはその名の通り、軽自動車の規格から外れない範囲で就寝収納スペースを確保してるキャンピングカーです。
特に横幅の制限が厳しく、大人2人就寝がやっとのスペースであることは理解しておきましょう。組み立て式の2段ベッドキットを導入することで、最大4人の就寝を可能にするモデルもありますが、それでも大人2人子供2人が就寝可能なサイズとなります。
軽キャンは荷物置き場にこまることも
軽キャンパーを見ると、大人2人が足を伸ばして寝ると荷物を置く場所がないことがすぐにわかります。
キャンピングカーは、食器や服など普通のクルマよりも荷物が増えがちです。
持ち物を上手に選定できないと、軽キャンパーはあっという間に手狭になってしまいます。
キャビン上部に吊り戸棚を設置しているモデルを選ぶことで多少収納スペースは増やせますが、それも根本的な解決にはなりません。
あくまでも就寝するためのスペースと割りきって、荷物はできるだけ持ち込まない割り切りが必要になりますね。
宿泊費は節約できますが、外食やコインランドリー利用のコストが必要になってきますから、注意してください。
販売員が教える軽キャンを買う人とその理由
基本的には単身者か、夫婦2人で利用するためのキャンピングカーとして割りきった使い方が必要となります。
軽キャンピングカーで旅をしたい!夫婦二人
軽キャンパーを買う中で特に多いのが、リアイアを迎えた老夫婦です。団塊リタイアによって軽キャン市場が盛り上がり今の豊富なキャンパーがあります。
軽キャンを買い求められる多くの方が、お仕事から開放されて夫婦水入らずで旅行を楽しみたいリタイアメントされた方でした。
特に全国の温泉めぐりをする際、高額な旅館費用を浮かせるためにワザワザ軽キャンパーを購入する人もいるとか。
価格も安く、移動先で手足を伸ばして眠ることだけに特化した軽キャンパーは、老後の夫婦にうってつけのクルマだったのです。
軽キャンピングカーで寝る!サラリーマン
意外なことに現役で休みの少ないサラリーマンも、最近は積極的に軽キャンパーを検討しているとか。
理由は、朝渋滞で苛々するくらいなら、早めに家を出て会社の駐車場で仮眠をするためなのだそうです。
通勤の渋滞は嫌ですよね。時間帯によっては、自宅から20分の会社まで1時間以上かかるなんてこともざらにあります。
ただでさえ仕事が待っているのに、朝から渋滞でイライラさせられたら精神衛生上よろしくありません。人によっては、見通しの悪い抜け道や、交通違反まがいのショートカットをすして事故や警察の御用になるなんて人も。
通勤のリスクを考えたら、早めに出発して後部座席のベッドでゆったり就寝するのは理にかなった行動だといえます。
加えて、営業中の空き時間や、就業後眠くなった時の仮眠にも使えたりできるメリットも。
アクティブな人だと、金曜の仕事が終わったら家に帰らず遊びに出かけることも可能です。
単身者なら服や下着を持ち込んでもスペースにこまることはありません。
遊びの拠点として利用するのに、程よいサイズと高い経済性の軽キャンパーはうってつけのマイカーだといえます。
ただしデザインがよくないのが残念なところです。
軽キャンパーで思い出作り!若いファミリー
4人就寝可能の軽キャンパーは、大人4人寝るのはとても厳しいですが、子供が小学校低学年くらいまでなら移動秘密基地として家族の思い出作りにベストな車となってくれます。
子供が小学生に上がる家庭は、ホテルによっては正規料金を請求されてしまうので旅行するハードルがぐっと上昇します。
軽キャンパーなら宿泊料金を気にせず好きな場所に遊びにいけます。
旅行先で疲れてもクルマに戻ればタダで足を伸ばしてくつろげるので、疲れやすい子供がいる家庭ほど恩恵にあずかれるのです。経済面から見ても大きなメリットでしょう。
軽キャンパーのデメリット・弱点
いいことばかりに見える軽キャンピングカーですが、様々な面でデメリットも抱えています。
軽キャンパーのデメリット 走らない
軽キャンパーは走りません。ただでさえ非力な軽自動車に、重たい宿泊用のベッドや棚を取り付けるのですから、仕方がありません。
単純計算で1040-740=300kg
軽トラックの座席の背面は切り取られ荷台も取り除かれているので、さらに数十kgは軽くなっているだろう。
そこにキャビンと家具類、そして電装関係を載せることを考えると、この車重にも納得できる。
設備にもよりますが+300kgの重量アップを660ccのエンジンで引っ張らないといけないので、高速道路では時速80km出すだけでも苦労することが容易に想像できます。
上り坂は必ず登坂車線のお世話になるでしょう。合流時の加速ももたつきを感じるはずです。
急制動も苦手で、重心も高いので急ハンドルは横転の危険性もあります。長い下り坂ではエンジンブレーキをしっかり使った運転も必要になります。
居住性が高い分、走りが犠牲になっているので、運転時は注意が必要になるでしょうね。
軽キャンパーのデメリット 低燃費
本来搭載する予定のない部品を取り付けるので、車重も重たくエンジンに大きな負荷がかかります。
軽だから低燃費で経済的と思って買うと、思いもよらないコストがかかるかも。
軽キャンパーのデメリット タイヤの摩耗
重たい装備を積むので、タイヤに掛かる負担が大きくなります。
安全のためにこまめなタイヤ交換が発生するので、その分の予算を見ておきましょう。
タイヤの価格はピンきりで、ついつい安いタイヤを選んでしまいがちですが、特殊な車両ですので高くても頑丈なタイヤを選ぶように心がけてください。
軽キャンのデメリット 防音断熱性が悪い
軽バンにベッドや棚を積んだ簡易改造キャンパーは断熱性が悪いので、室内は夏は暑く冬は寒い部屋になります。
特に夏は地獄です。冬はFFヒーターと呼ばれるガソリンで動く暖房や冬山登山用の寝袋で切り抜けられますが、エアコンやクーラーを軽キャンパーのバッテリーで動かすのは難しいといえますね。
仮にエアコンを使えたとしても、冷やした傍から熱くなっていく車内には文字通り焼け石に水です。
温度の問題を解決できても、就寝時に場所には注意しないと周りの騒音や振動で寝苦しい思いをします。
耳栓や、温かい寝袋など、就寝アイテムはいいものを購入して快適な車内泊を楽しみましょう。
注意点!軽キャンピングカーは値引きがない?
軽キャンパーですが、オーダーによる受注生産であることから、基本的に値引きがむずかしいようです。
もちろんお店の在庫やタイミングによって変わるでしょうが、値引率はとても渋いでしょう。
下取り車があるなら、買取店に持ち込んで高く買い取ってもらえれば、購入の負担は大きく下がります。
軽キャンパーなら通勤には十分な性能で、駐車場での仮眠もできますからお父さんの通勤車として購入するのもいいですね。
さすがに軽キャンパーに住むのは住民票や駐車場など問題が山積みでオススメしませんが、移動後もくつろげる移動拠点として考えるならリタイア夫婦二人や多忙なお父さんの仮眠室として活躍してくれることでしょう。